名古屋城天守閣の木造復元を目指す名古屋市は、プロポーザルで選定した竹中工務店の提案について、4月に議会や市民に報告し、理解を深めてもらう。
市民向けには、同18日から25日まで5会場で市民報告会を開くほか、2万人を対象としたアンケートなどを実施する。その結果を踏まえ、設計費などを盛り込んだ補正予算を6月議会に提出する考えだ。
技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)を採用して行ったプロポーザルでは、同社と安藤ハザマが提案書を提出、27日のプレゼンテーションを経て、29日に同社が優先交渉権者に決まった。同日、第7代尾張藩主徳川宗春を模した姿の河村たかし市長が岡田正徳竹中工務店取締役副社長に審査結果通知書を手渡した。
同社の提案は、史実に忠実な木造天守閣を復元するためのプロジェクト推進体制、工程計画、バリアフリー化、木材調達、仮設計画、復元過程の公開などが評価された。
提案によると、現代技術を生かし、次の400年を見据えた木造天守閣を実現する。設計期間は17年12月までの21カ月。SRC造の現天守閣解体を17年6月から18年1月までに行い、18年1月から20年7月末までの31カ月で木造復元工事を進める。
総事業費は、石垣を現状のまま維持する場合と積み直す場合、現ケーソン基礎を利用する場合と利用しない場合を想定し、438億6000万~467億1000万円と見込んだ。
利用する木材は原則国産材とし、一部外材の使用も考える。復元過程の公開では、5階建ての素屋根内見学施設を設けて対応する。バリアフリーについては、車いす利用者用の小型エレベーターを設置し、史実に配慮する。
会見で河村市長は「実測図があり、寸分違わない木造復元ができる」と自信を示すとともに、提案書を提出した2社に対し「短期間でよく検討してもらった」と感謝した。
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