2021年4月26日月曜日

【駆け出しのころ】五洋建設執行役員建築部門担当(設備)・川延直樹氏

  ◇トレンド追いかけ楽しむ◇

 就職活動をしていた時、海洋土木が主力の五洋建設には、これから建築を伸ばそうという勢いを感じました。

 最初に配属された横浜支店ではまず、研修も兼ねて大型マンション現場に常駐しました。他の現場を兼務する設備担当の上司に指導を受けながら、図面の整合調整をはじめ顧客や設計事務所との打ち合わせなどに奔走。新人ながらやりきったという思いがありました。

 設備担当の技術者として3年目以降は複数の現場を掛け持ちしました。業務量は多かったですが、さまざまな人との出会いからコミュニケーション能力が高まったと思います。設備の基礎的な知識やスキルは、サブコンの方々から学んだところも少なくありません。事業者との打ち合わせではさまざまなニーズに合わせた調整力も必要です。生産系などの専門施設では施主の方が技術的なことを熟知されており、こちらの提案を承諾してもらうのに苦労しました。

 20代後半で常駐した大型清掃工場の現場も人との出会いがその後の糧になりました。現場の収まりや取り合いなどについて、プラント会社の建築担当とかんかんがくがくの議論をする毎日。建築担当者にも堂々とものが言えるようになろうと決意したことが、1級建築士の資格を取得するきっかけでした。

 12年目に当社発祥の地にある中国支店へ異動になりました。歴史と実績のある支店でしたので、従来のやり方にこだわりが強かったと記憶しています。業務の無駄をなくし最適化するため、論理的に改善効果を説明するなど、支店で設備部門の業務変革に力を注ぎました。

 中国・四国・九州地方で当時最も高い166メートルの超高層複合ビルの建設工事は思い出深い現場の一つです。自分にとっても初の超高層案件。内装と設備のユニット化や独自に設計した消防設備など、試行錯誤しながら新しいやり方を積極的に取り入れました。

 バブル崩壊後の不況期には多くの企業がリストラを断行しました。早期退職などで周りの社員が辞めていく姿を見て、将来に悩んだこともありました。大学時代の恩師から「バブル期に建てた施設は設備を今後更新するから、これからの主役は設備だよ」と励まされました。

 特定の人や組織にしかできないことを、誰でもできるようにすることを常に心掛けてきました。その時々のトレンドを取り入れ、より良いものにすることが重要です。特に建築設備はメーカーの技術競争もあり変化が早い分野。創意工夫を凝らし機能や性能をグレードアップし、利用者に快適さや安心・安全を届ける。若い人たちはそこにやりがいを感じながら、楽しんで仕事をしてほしいと思います。

入社5年目、工事事務所で施工図などを夜遅くまで確認していた

 (かわのべ・なおき)1987年関東学院大学工学部建築設備工学科卒、五洋建設入社。東京建築支店設備部長や建築部門建築本部設備部長などを経て2019年4月から現職。神奈川県出身、57歳。

0 コメント :

コメントを投稿