東京大学生産技術研究所の酒井雄也准教授は、触媒を使って砂同士を直接接着し、硬化体を製造する技術を開発した。
これまでコンクリートの主材料として適さなかった形状の砂なども活用できるようになり、場所を問わず建設材料の調達が可能になる。月面など地球外で基地を建設する場合も、現地の砂を使って比較的省エネルギーで建設材料を製造できる。
開発した技術では砂、アルコール、触媒を密閉容器に入れて加熱・冷却し、砂の化学結合を切断・再生すると硬化体を製造できる。セメントや樹脂などの接着成分は不要。製造後に生じるアルコールと触媒の廃液は再利用できる。
硬化体を製造できるのは砂、砂利、ガラスなどの二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする材料。これらの材料は地球上だけでなく月面や火星でも入手できるため、資源の枯渇を回避できる。製造に必要なエネルギーは従来よりも削減できる。例えば月面の砂を使って建設材料を製造する場合、既存技術では1000度以上の熱で溶融する必要があった。開発した技術は240度程度で製造が可能という。温室効果ガスの排出抑制にもつながる。
主要な建設材料であるコンクリートはセメント、砂、砂利に水を加えて製造する。コンクリートに使う砂や砂利は世界的に不足しており、多くの国で輸出が禁止されている。また、砂の形状によってはコンクリートへの活用が困難な場合もあり、建設材料の確保が課題となっていた。
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