2021年4月7日水曜日

【回転窓】世の中を変えるブレークスルー

  青、赤、緑の3色を組み合わせるとさまざまな色が表現できる。物を見る時、人間は色を青、赤、緑の“光の三原色”に分解して認識している。小学校で教わった時、3色を混ぜると白になるのが不思議で仕方なかった▼すっかり定着した発光ダイオード(LED)照明は青色LEDの開発無くして実現できなかった。1960年代に赤と黄緑のLEDは開発できたが、青は技術的なハードルが非常に高く「20世紀中の実用化は不可能」とさえ言われた▼不可能を可能にし2014年にノーベル物理学賞を受賞したのは3人の日本人研究者だった。赤崎勇さんと弟子に当たる天野浩さん、そして製品化の技術開発で先行していた中村修二さんが成し遂げた青色LEDの開発は、まさにブレークスルーのお手本だろう▼消費電力が少なく寿命も長いLED照明、鮮明な映像が再現できる大型ビジョン、大容量のデータ保存が可能なブルーレイ…。赤崎さんらの功績は枚挙にいとまがない▼物理学の発展に足跡を残した赤崎さんが1日に92年の生涯に幕を閉じた。偉大な研究者はこれからも、光り輝く街を天国から眺め続けるのだろう。

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