2019年12月24日火曜日

【マウナケア山頂、シャッター開閉スムーズに】横河システム建築、ハワイ天文台設備の改修施工

 横河システム建築(千葉県船橋市、大島輝彦社長)が培ってきた可動建築技術が、天文台設備の長寿命化に貢献した。舞台は東京から約6200キロ離れたハワイ。同社が手掛けた国立天文台ハワイ観測所のメインシャッター改修工事が9月完成した。望遠鏡を格納する重要な設備。長年メンテナンスをしていなかったこともあり、スムーズな開閉ができなかった。部材を改良するなどして竣工時の動きを取り戻した。

 観測所は、マウナケア山頂(標高4200メートル)に構える。高さ43メートル、回転レールの直径43メートルの円筒型。左右に開閉する大型シャッターの内部に大型光学赤外線望遠鏡「すばる」を納めている。1999年に竣工した。今年に入り、老朽化が原因で大型シャッターを動かすガイドローラーの動作に不具合が生じていた。

 海外事業者が施工した特注部材の多い施設で、図面もほとんど残っていなかった。現地で3D測量を実施し、測量結果から図面を作成。ガイドローラーの老朽化に加え、軌道への納まり具合にも不備があることや、ガイドローラー以外にも複数の部位で修理が必要なことが判明した。横河システム建築の高柳隆常務によると「限られた期間内でまずは確実にメインシャッターが動くための技術的判断が求められた」という。今回はガイドローラーの形状と数量を見直すとともに、メンテナンスの際に使う足場を増設した。

 横河システム建築がハワイ観測所を改修するきっかけになったのが観測所からの問い合わせだった。観測所の職員が修理できる会社を世界中で探していたところ、横河システム建築のホームページを発見したという。

 工期は6月3日~9月3日で、総工費は1億0610万円。総勢31人が関わった。2033年に次世代望遠鏡が導入されるまでは現在の施設を利用するため、今後も定期的なメンテナンスを行う。

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