2019年12月17日火曜日

【延べ150万人が作業に従事】国立競技場が竣工、設計・施工は大成建設JV

 日本スポーツ振興センター(JSC)は、完成した国立競技場(東京都新宿区、渋谷区)を報道陣に15日公開した。陸上トラックや芝生は既に張られた状態で、ランダムに5色を配置した約6万席の観客席も設置を終えている。

 今後は東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会発注の仮設オーバーレイ工事を予定。引き続き大成建設の施工で五輪本番に向け準備が進められる。

 同日の竣工式には安倍晋三首相をはじめ、萩生田光一文部科学相、橋本聖子東京五輪・パラリンピック担当相、赤羽一嘉国土交通相らが出席。あいさつした閣僚はいずれも五輪後のレガシー(遺産)としての発展に力を込めた。東京都の小池百合子知事は「緑がふんだんにあり、いざという時の避難の拠点として防災関係の備蓄スペースも確保してもらった」と防災機能にも期待した。

 組織委の遠藤利明会長代行は、36カ月の短い工期に挑んだ設計・施工関係者の努力をたたえ、「暑い夏も雪の降る中も建設現場で働いた皆さんとその家族の苦労を思うと改めて感謝の気持ちしかない」とねぎらった。

 設計・施工は大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV。短工期の実現に向け、工区を4分割し順番に同じ工程を繰り返すなど施工の効率化に工夫を凝らした。工事関係者によると、工程遅延が許されない状況下で「前工程に感謝、後工程に思いやり」を合言葉に一致団結して施工に当たった。

 携わった作業員は累計約150万人、ピーク時で1日当たり約2800人に達した。完成後には作業員や家族を招いた見学会も行われたという。

  □オールジャパンの努力実る□


 2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる「国立競技場」(東京都新宿区、渋谷区)の竣工式が15日に開かれた。真新しいフィールドに安倍晋三首相や関係省庁のトップ、小池百合子都知事など大会関係者が一堂に会した。

 設計・施工者として整備事業に関わった山内隆司大成建設代表取締役会長、杉谷文彦梓設計社長、建築家の隈研吾氏も出席。新たなスポーツの殿堂の無事完成を祝った。

 安倍首相は自身が決断した整備計画の白紙撤回・再検討を振り返ながら「竣工までにさまざまな苦労があったことと思う。皆さまがオールジャパンで努力した結果、竣工の日を迎えた。改めて関係者すべての皆さまに敬意を表したい」と謝意を述べた。

 設計・施工者を代表し山内会長は「無事に約束の完成期日まで施設を引き渡しできたことは(事業主体の)日本スポーツ振興センター(JSC)をはじめ皆さまのご指導、ご鞭撻(べんたつ)のたまものであると深く感謝する」とあいさつ。大東和美JSC理事長は「生まれ変わった国立競技場を最大限活用し、わが国のスポーツ界のさらなる発展に貢献し、国民に開かれた親しみやすいスタジアムになるよう努める」と決意表明した。

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