2019年12月6日金曜日

【長期滞在の足がかりに】竹中工務店やJAXA、宇宙空間での野菜の袋栽培技術を確認

 竹中工務店と宇宙航空研究開発機構(JAXA)、キリンホールディングス、千葉大学、東京理科大学スペース・コロニー研究センターの5者は、宇宙空間での食糧確保に向けた研究を実施し、野菜を袋栽培する技術が実現可能と確認した。

 食糧確保の方法として主に水耕栽培が想定されている宇宙空間で、水耕栽培ができなくなった場合のバックアップとして活用できる。

 JAXAの宇宙探査イノベーションハブに採択された「袋型培養技術を活用した病害虫フリーでかつ緊急時バックアップも可能な農場システムの研究」として産学官で実施した。今後は袋型培養技術を活用した宇宙農場システムを長期滞在を可能にする要素技術として、JAXAや米航空宇宙局(NASA)などへの提案に役立てていく。

 宇宙空間に長期滞在する場合の食糧確保の方法として主流となっている水耕栽培が、菌の繁殖などで不可能になった場合のバックアップとして袋型培養技術の実現可能性を研究した。宇宙空間の低圧環境下での栽培を想定してレタス、ジャガイモの種イモ、ダイズ苗を対象に試験を実施。小規模な密閉状態の袋の中で植物体を増殖でき、栄養成分も適切なことを確認した。

 低圧環境下での袋型培養技術の研究に合わせ、同技術を使った農場システム構築が実現可能なことを確認した。農場の栽培設備は常圧になるまで加圧する必要がないため、農場建設に使う構造体を簡素化でき、建設資材を低減できるなどのメリットも見込まれる。月面の空洞を活用した月面農場のモデルイメージも作成した。イメージでは30人程度が生活する居住エリアと、水耕栽培と袋栽培ができる栽培エリアなどで構成する。

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