少し季節外れな話題になるかもしれないが、夏の夜、寝ようと思って目を閉じるとどこからともなく聞こえてくる「プーン」という羽音。追い払ってもやってくる厄介者に安眠を妨げられた経験はどなたにもあるはず▼約2500種が存在する「蚊」。頼んでもいないのに血液を吸い、お礼とばかりにかゆみを残して去っていく。病気を媒介する衛生害虫との格闘を根本的に解決するかもしれない研究が成果を上げつつあるそうだ▼金鳥ブランドの蚊取り線香でおなじみの大日本除虫菊(大阪市西区)が、蚊取り線香の原料である多年生の植物「除虫菊」のゲノム解析に世界で初めて成功したという。除虫菊に含まれる天然の殺虫成分を高濃度で含んだ品種や育成期間の短い品種が開発できるのでは、と今後に期待が持たれている▼蚊取り線香を使う家庭は少なくなったかもしれない。けれども創業130年を超える老舗の殺虫剤メーカーが取り組んだ研究には大きな可能性がある▼蚊が媒介する病気で苦しむ人はアフリカや東南アジアなどの地域で多いはず。蚊には迷惑な話だろうが、渦巻き型線香のパワーアップに期待したい。
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