2019年12月17日火曜日

【回転窓】心が震える経験を刻む

 2016年12月の着工から3年余り。来夏の五輪とパラリンピックでメイン会場になる国立競技場が完成し、一昨日に竣工式が開かれた▼真新しい巨大なスタジアムは木がふんだんに使われ、自然との調和を意識したデザイン。竣工式という節目を迎え設計や施工を担当した企業、そして現場の最前線で苦労を重ねた人たちは晴れやかな気持ちとともに、無事完成したことにホッと胸をなで下ろしただろう▼1964年東京五輪の舞台となった旧国立競技場。惜しまれつつ長い歴史の幕を閉じたのはおよそ5年前になる▼さまざまなドラマが生まれ「スポーツの聖地」と呼ばれたスタジアム。奇跡の勝利、息をのむほどの熱戦、そして涙に暮れる敗北。さまざまな場面の舞台として国立競技場はスポーツの歴史に名を刻んできた。ピッチに足を踏み入れ周囲のスタンドを見上げた時に「心のどこかが震えるような経験をした」。あるサッカー選手に以前、聞いた話だ▼最新の設備を導入し世界最高水準のユニバーサルデザインも採用した国立競技場。真っ白なページにどのようなドラマが描かれるのか。魂を込めるのはこれからだ。

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