2015年6月30日火曜日

【回転窓】山も工事も安全第一で

北アルプスの杓子岳・白馬鑓ケ岳(左から) 写真撮影=M.S きょうで6月は終わり。列島各地は梅雨のさなかですっきりしない空模様だが、本格的な夏空も間近である。あす7月1日は、富士山をはじめ多くの山が山開きを迎えることだろう▼山開きとは本来、特定の日に一般人に入山や登山を認めること。山岳信仰が盛んだった時代に、普段は修験者や僧以外に立ち入りが許されない神聖な霊山を、日を決めて俗人に開放することだったという▼現代の山開きはこれとはだいぶ意味が違う。山小屋や登山口までの交通機関が本格的に営業を始め、気候も安定して一年のうちでも最も快適に登山ができるようになる日とでもいったらよいだろうか。いよいよ夏山シーズン本番というわけだが、ここは要注意▼警察庁が先日発表した昨年の山岳遭難は全国で2293件、遭難者は2794人に上った。件数、人数とも3年連続で増え、統計が残る1961年以降では最多。死者・行方不明者は計311人で過去3位だった。ちなみに御嶽山噴火による死者・不明者計63人は自然災...

【さあ、海開きだ!!】建設各社が全国で砂浜の清掃活動

 海開きが相次ぐ7月1日を前に各地の海水浴場で清掃活動が行われた先週末、ゼネコン各社も社員らが参加して砂浜のゴミを拾うボランティア活動に従事した。 吉里吉里海岸での清掃活動の様子  岩手県大槌町の吉里吉里(きりきり)海岸で清掃活動を行ったのは前田建設東北支店(青木敏久支店長)。復興CM事業を手掛ける大槌復興CMR(前田建設・日本国土開発・日特建設、パスコ・応用地質JV)の伊藤明所長が呼び掛け、三陸沿岸で工事を受け持つ千徳小山田道路作業所、大槌トンネル作業所、大槌町町方復興CMr、鵜住居川作業所、五葉山メガソーラー作業所、新鍬台トンネル作業所、小友作業所の8現場と青木支店長ら東北支店の有志を合わせて、総勢100人が参加した。青木支店長は「大槌町屈指の景色を持つ海水浴場だけに、子どもたちや町の人々が楽しく過ごせるような環境整備をしたい。普段は各地で仕事をしている社員たちが、これだけ集まってくれたことを頼もしく思う」と話しながら、ごみが残っていないか先頭を切って砂浜を点検していた。...

【駅ナカの次は道ナカ】常磐道・守谷SA(下り)に商業施設、7月1日オープンなり

  パサール守谷の外観  東日本高速道路会社が常磐自動車道・下り線の守谷サービスエリア(SA)で整備を進めていた道ナカ商業施設「Pasar(パサール)守谷」(茨城県守谷市野木崎)が7月1日に開業する。「憩いの森」を施設コンセプトに掲げ、東京など都心部から北関東・東北方面の目的地に向かう最初の休憩ポイントとして整備した。10年前の民営化以降、SAやパーキングエリア(PA)で進めてきたリニューアル事業のノウハウを集め、道路利用者の癒しと、地域の魅力向上につながる空間を創出した。  ◇民営化10年のノウハウ結集◇  開業を前に29日、内部が報道機関に公開された。同社事業開発本部の前川潤エリア事業部長は「10月に民営化10周年を迎えるのを前に、SA・PAリニューアルでは基本的なサービス向上を目指す『礎づくり』と、個性的・魅力的な店舗などを集めた『華づくり』といった二つの方向性でレベルアップに取り組んできた」と説明。民営化10年の間にSA・PA事業による売上高が約180億円増加するな...

【建設業の実態はまだまだ厳しい】若手・女性採用、企業規模で大きな差/日刊建設工業新聞・KDDI共同調査

   日刊建設工業新聞社とKDDIは共同で、全国建設業協会(全建)傘下の1万8000社余りを対象に「建設業の高齢化に伴う人材確保とICT(情報通信技術)の導入」についてアンケートを実施した。それによると、企業規模が小さくなるほど女性技術者や若年技術者の採用が少なくなる傾向が強まることが分かった。規模の小さい企業ではICTの導入が遅れている現状も浮き彫りになった。  調査は、5~6月に1万8373社を対象に郵送方式で実施、4198社から回答(回収率22・8%)を得た。回答企業を規模(従業員数)別に30人以下、31人以上100人以下、101人以上の3カテゴリーに分けて集計した。  従業員の年齢構成では全従業員に占める50歳以上の割合が「3割以上」と回答した企業が4分の3以上を占めた。企業規模別に見ると、30人以下の企業では「5割以上」と回答した企業が44・1%に上った。101人以上の企業でも66・6%が「3割以上」と回答。高齢化が建設業全体で進行している様子がうかがえる。 ...

【ダム・ウィズ・ナイト!!】ダム工学会がダムの魅力満載のイベント開催(短い見出しで「ダム」を4回連呼してみた)

 ダム工学会(濱口達男会長)の設立25周年を記念した一般公開シンポジウム「With Dam☆Night’15」が26日、東京都中央区の日本橋社会教育会館で開かれた=写真。日本大ダム会議が共催した今回のシンポジウムは「世界のダム」がテーマで、集まった多くの人たちを楽しませていた。  濱口会長は「ダムの歩みは人類の歩みだ。文明の誕生と共にダムはできている。ダムの魅力を発信していきたい」とあいさつ。日本大ダム会議の松本徳久専務理事が古いダムをいかに安全にしているかといった視点から「世界のダムいろいろ」、ダムをデザインした紙幣の収集家のTAKANE氏が「ダム紙幣と経済」、ダムマイスターの中村靖治氏が経済的に造られた「タスマニアのダム」、ダムライター・写真家の萩原雅紀氏が魅力のある「世界のすごいダム」についてそれぞれ講演した。  トークショーには土木学会の勝濱良博氏、水資源機構の染谷健司設計事業課長らが登壇。勝濱氏は、日本が第2次大戦前に造り今も稼働している北朝鮮の水豊ダムを世界遺産に...

2015年6月29日月曜日

【ロゴマークシールをペタッ!!】日建連がヘルメット用「けんせつ小町シール」作成

 日本建設業連合会(日建連)は、女性技術者・技能者の愛称「けんせつ小町」のロゴマークを用いたヘルメット用のシールを作成し、会員会社に配布した。愛称を検討した会員会社の女性職員の意見を参考に、直径30ミリと50ミリ、それぞれ透明と白色を用意。色付きのヘルメットを採用していたり、ヘルメットに複数のシールなどを張っている社に配慮した。  1万枚弱を作成したが、既に配布を終えており、追加でシールを希望する場合には、幅広い利用を求めているロゴマークを使って自主的に作成するよう呼び掛ける。...

【回転窓】職人の心意気と聖火台

 1964年の東京五輪で使用された聖火台が、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市の総合運動公園に移設された。聖火台があった国立競技場の建て替えに伴い、「復興のシンボル」として貸し出された▼聖火台は鋳鉄製で直径と高さが約2・1メートル、重さが約2・6トン。前例のない規模だったので大手企業にも引き受け手がなく、埼玉県川口市の鋳物師、鈴木萬之助、文吾親子が製作した▼製作期間3カ月という切羽詰まった状況に採算を度外視して引き受けたという。親子を支えたのは職人の心意気。昼夜兼行で作業に没頭したが、最初は鉄を鋳型に流し込む作業がうまくいかず、精根尽きた萬之助さんが他界。文吾さんが志を引き継いで納期に間に合わせた。五輪の開会式では、全世界が見守る中、聖火が無事ともされた▼新国立競技場の建設で多くの課題が浮上している。技術的難しさもあり、期限までの完成を危ぶむ声もあるが、かつての聖火台のように日本の建設業の技術と心意気で完成させてほしい▼石巻市では週末、「復興マラソン」が開かれ、職人の心意気が詰まった聖火台が市民にお披露目された。...

【凛】日立建機マイニング本部販売戦略部・加納千寿さん

◇海外の何もない所に事業育てたい◇  日立建機製の鉱山用機械(マイニング)を海外で販売する現地担当者と日本の本社とのパイプ役を担う。見積もり作成や工場からの輸出調整、現地の要望への対応など業務は多岐にわたる。「寄せられた要望を皆で議論し合い、自分の考えを出して課題が解決できた時にやりがいを感じる」と目を輝かせる。  スウェーデンの大学院に在学中、英語が堪能だったことから海外で働きたいと考えていた。そんな時に日立建機の就職説明会に参加。人事担当者の人柄に引かれたことが入社のきっかけになった。マイニング本部に配属されて3年目、現在はオーストラリアを担当。「海外とのやりとりでは日本語も英語も使うので楽しく仕事ができている」。  入社して強く感じたのは、横のつながりはもちろん、縦の人間関係が良かったこと。「風通しの良さに驚いた」という。配属後しばらくは淡々とした事務作業が続くと思っていたが、「スピードが速く、いろいろと任されることも多い。挑戦させてもらっている」。  しかし、顔が直接...

【中堅世代】それぞれの建設業・100

確かなプランニングと施工管理で取引先と信頼を築いていった ◇おやじの功罪、借金を知ったあの日から◇  小さいころはいつもボロボロの靴を履き、学校の給食費も払えないほどの貧しい家に育った。「なぜうちは貧乏なんだろう」。細川幸一さん(仮名)はずっと不思議に思っていた。  高校を卒業し、最初に就職した会社で大工道具の営業を担当した。数年後、エクステリアの会社に再就職したころ、父親が20社近い金融業者から借りた金を返せないでいるのを初めて知った。  ショックだったのは、父親が多額の借金を抱えていたことだけではなく、三つ上の姉が毎月の給料のほとんどを返済に当てていたことだった。でも、膨らんだ借金は母と姉が働いても返せる額ではなかった。「長男の俺はなぜ何も知らなかったのか」。自分が無性に恥ずかしかった。  父親は、働き者の大工職人だった。だが、一緒に飲んだ人の勘定も金を借りてまで払うなど、稼いだ以上の金を使ってしまう性分だったという。働き盛りの30代で大きな事故に見舞われ、体に障害を抱え...

【駆け出しのころ】奥村組執行役員西日本支社関西支店長・原田治氏

 ◇専門を極めれば分野が広がる◇  入社して2年目のことです。埼玉県内にある東北新幹線の建設工事現場に勤務していたところ、急に東京本社の土木設計グループに応援に行くよう指示されました。大学で計画系の研究室に所属し、コンピューターを使っていた(当時は珍しいことだった)私なら、土木設計の業務を手伝えるだろうと会社が判断したようです。これには驚き、不安な面もありましたが、会社の期待に応えることだけを考えて挑戦することにしました。  このグループは若い社員で構成されていたこともあり、私が学生時代に所属していた体育会系のテニス部をほうふつさせるかのように皆で切磋琢磨(せっさたくま)して業務に励みました。しばらくは応援の立場でしたが、耐震解析などを中心に勉強していたところ、上司から突然、現場に戻らずグループに残れと言われ、正式に配属されることになりました。一技術者として認められたことに喜びを感じ、にわかに自信が増して向上心が高まりました。  1983年から東京本社の原子力室に配属されまし...

【サークル】大林組 バレーボール部

 ◇「NO バレー! NO LIFE!!」◇  大林組の公認部活動の一つであるバレーボール部。5月末時点の部員数は男女合わせて約25人で、部員の所属先は本社や現場、技術研究所などさまざまだ。経験者が大半を占め、年2回開かれる建設業のバレーボール大会「建設業リーグ」で男子、女子チームとも優勝経験のある強豪だ。  男子チーム前キャプテンの柄澤千尋さん(経理部東京経理第二課)は、「発足年や経緯に関する詳細な記録は残っていませんが、ベテラン社員に聞くと30年以上前から活動しているようです」と話す。  モットーは「NO バレー! NO LIFE!」。練習は月2回。平日夜に東京・品川の本社近くにある体育館に集まり、汗を流す。男女合同で練習することもあるという。交流は社内にとどまらず、社外のバレーボール仲間ともコミュニケーションを図っている。  大会出場は年6回程度。「建設業リーグでは過去に1度、男女アベック優勝を果たしました。現在は、もう一度アベック優勝を目指し、猛練習中です」と柄澤さ...

2015年6月28日日曜日

【首都圏Look at】JR大崎駅周辺で再開発活発

大崎駅周辺で進む再開発事業の位置図  東京都品川区のJR大崎駅周辺で、組合施行の第1種市街地再開発事業を目指す取り組みが活発化している。駅西側の2地区で、地権者らでつくる準備組合が相次ぎ計画を具体化。駅南側の1地区でも、まちづくり協議会が準備組合への移行に向けた動きを始動させる見通しだ。周辺では先行して進んだ再開発事業で高層ビルが集積。かつての工場街は大きく変貌しており、新しい街全体を適正に維持管理したり、さらに価値を高めたりする取り組みも動きだしている。  ◇相次ぐ再開発計画◇  駅の西側では、大崎西口駅前地区(品川区大崎3の6ほか、敷地面積約1・4ヘクタール)で既存建物を共同で建て替え、住宅や業務・商業が入る再開発ビルの建設が計画されている。準備組合は6月中に事業協力者を選定。ビルの規模や機能などの検討に入る。  同地区の東隣の大崎三丁目地区(品川区大崎3の7ほか、敷地面積0・5ヘクタール)では、07年9月に発足した準備組合が、事業協力者の住友不動産と施設の規模や機能を...

2015年6月27日土曜日

【ストレスチェック制度ってなに?】12月から一定規模以上の事業所に義務付け/Q&Aでポイント紹介

ストレスチェック制度の流れ うつ病などメンタル面の不調を未然に防ぐため、企業など50人以上を雇用するすべての事業者に対し、従業員の心理的負担の調査を義務付ける「ストレスチェック制度」が、施行まで半年を切った。影響が大きいとされる新制度だが、企業はどのような準備をすればよいのか。建設業での留意点を含め、中央労働災害防止協会(中災防)の専門家にポイントを聞き、Q&A形式でまとめた。  ◇対策は「重要な経営課題」◇  Q ストレスチェック制度とはそもそもどういうものか。  A 14年6月に公布された改正労働安全衛生法で、常時50人以上を雇用する事業者に義務付けられた。今年12月1日に施行される。50人未満の事業者は努力義務となっている。所管する厚生労働省は、対象事業所のすべての労働者が受けることが望ましいとしている。費用は企業が負担する。  事業者は医師や保健師などに依頼し、調査票を使って実施する。結果は本人の同意がない限り、事業者に伝えることは禁止されている。  ストレスチェッ...

2015年6月26日金曜日

【回転窓】霞が関の働き方改革

不夜城の明かりは消えるのか・・・ 7月1日から東京・霞が関の官庁街で夏の生活スタイル変革を目指す取り組みが始まる。7~8月の2カ月間を対象に実施する「霞が関ゆう活」。早朝に仕事を始めることで早く退庁し、「夕方を楽しく生かす働き方」を実践するという▼深夜でもこうこうと明かりがともる役所で官僚たちが仕事を続ける様子から「不夜城」とも呼ばれるこの街。若い職員が多忙のあまり自宅に帰れず、そのまま事務所に寝泊まりして仕事を続ける姿も見かける。ゆう活など果たしてうまくいくのか、と人ごとながら心配にもなる▼担い手を確保・育成するために、建設産業界では現場の土日閉所などの働き方改革を実践しようとしている。十分な休みも取れない産業には若者たちも入りたいとは思わない。短時間で仕事をこなす生産性の向上も問われよう▼早朝出勤で定時に退社する取り組みを先行的に実践する企業の方々から見れば、「霞が関ゆう活なんぞ、何を今さら」という思いもあろう▼それでも何とか取り組もうとする姿勢は評価してもよさそうだ。霞が...

【直接見て、聞くことがなにより】竹中工務店九州支店が女性技能者と現場で意見交換

現場のことは現場に、女性のことは女性に聞くのが一番  竹中工務店九州支店と協力会社で構成する九州竹和会は23日、福岡市東区の超高層分譲住宅「アイタワー」建設工事作業所で女性技能者と初の意見交換会を開いた=写真。建設業界で女性の活躍が進む中、女性技能者の就業環境改善と新たな女性技能者の確保を図るのが目的。  今回は、牧旨之支店次長や中村政博九州竹和会会長らが同工事に従事する協力会社の女性技能者4人、竹中工務店の女性社員ら9人の計13人と現場の作業環境などについて自由に意見交換した。  中村会長は「女性が建設現場で働きやすい環境づくりをしていくためにはどうしたらよいか、技能者、事務職も含めた女性の方々に意見を伺いたい」とあいさつ。参加者からは「トイレの施設整備は非常に進んでいる」「更衣室やシャワー室などの施設があれば、仕事が終わってからショッピングにも出掛けやすい」といった意見が聞かれた。  同支店と九州竹和会では今後も継続して女性技能者との意見交換会を開催し、得られた意見を基に女...

【鉄道トンネルの魅力がいっぱい】写真家・徳川弘樹氏が個展「軌道回廊」

東京会場は6月29日まで、ご用とお急ぎでない方はぜひ!!  写真家・徳川弘樹氏の写真展「軌道回廊」が29日まで、東京都新宿区のニコンサロンbis新宿(新宿エルタワー28階)で開かれている。時間は午前10時30分~午後6時30分(最終日は午後3時まで)。入場無料。  徳川氏は、日本トンネル技術協会が14年に設立40周年記念事業の一環として募集した「トンネル・地下空間フォトコンテスト」で、最優秀賞に輝いた写真家。今回の写真展では、各所の鉄道トンネルを独特の手法で表現した作品20~30点を展示している。27日には同サロンで徳川氏のギャラリートーク(午後1~2時)が催される。  同展は9月17~23日、大阪市北区のニコンサロンbis大阪(ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階)でも開かれる。...

【レッズサポのみなさん、楽しみに待ってて下さい】埼玉スタジアム大規模改修が始動!!

改修に入る埼玉スタジアム 埼玉県は、2020年開催の東京五輪でサッカーの試合会場として使用される埼玉スタジアム(さいたま市緑区中野田500)の大規模改修事業に着手する。初弾の設計業務について、18日に一般競争入札を開札した「埼玉スタジアム2002コンコースほか改修工事設計業務」の委託先を537万円で宇田川太郎建築設計研究所、「埼玉スタジアム2002外壁ほか改修工事設計業務」を449万1000円で井上建築工学設計事務所にそれぞれ決めた。改修工事は分割発注し、本年度は外壁の修繕やスタンド改修などを行う。  同スタジアムは、▽スタジアム本体(RC造6階建て延べ6万0867平方メートル)▽クラブハウス(S造2階建て延べ782平方メートル)▽チームハウス(RC造平屋597平方メートル)▽入場ゲート(S造平屋90平方メートル)6棟▽総合案内所(RC造平屋191平方メートル)2棟▽トイレ兼倉庫(RC造平屋240平方メートル)―などで構成する。  コンコースほか改修工事設計業務の予定価格は68...

【人材不足、やはり深刻】群馬建協が専門工事団体の担い手対策調査結果

時代が変わっても建設工事を支えるのはやはり「人」 ◇人材不足「5年以上前から」8割◇  群馬県建設業協会(青柳剛会長)は、県内の専門工事業団体を対象に今年3月に行った「群馬県内建設産業団体の担い手対策に関する基礎調査」の報告書をまとめた。設備、型枠、造園、とび・土工、塗装、板金、板金関係など15の団体が回答。「若年者(15~24歳を想定)の担い手確保の状況」については、不足しているが10団体、大変不足しているが5団体と、回答団体すべてで若年者の担い手が不足しているという傾向が示された。  調査は、建設業振興基金の「建設産業担い手確保・育成コンソーシアム14年度地域連携ネットワーク等構築支援」予備調査の指定を受けて実施した。  担い手の「不足を感じ始めた時期」については、「10年以上前から」が47%、「5年前ごろから」33%、「最近になってから」20%で、5年以上前から不足し始めたとの回答が8割を占めた。  団体として若年者担い手対策(入職促進、退職者防止、技能の伝承など...

【あなたならどのデザイン?】宮城県南三陸町「復興の橋」デザインコンペ、5者が7月の公開審査に

 宮城県南三陸町は、志津川地区に架ける橋梁を対象とした「復興の橋デザインコンペ」の第1次審査の結果を発表した。通過したのは、▽並木千香氏、大松俊紀氏(桑沢デザイン研究所)、鈴木啓氏(ASA)▽森創太氏、蜷川結氏(nmstudio)▽田中亮平氏(G architects studio)、田村尚土氏(ディックス)、涌田純樹氏(涌田純樹事務所)▽茅岡彰人氏、箕浦浩樹氏、藁科誠氏、山口温弘氏、宮脇和紀氏、菅澤和真氏(大林組大阪本店)▽堀越一希氏(東京理科大大学院)-の5者。7月19日に同町のベイサイドアリーナで、公開2次審査が開かれる。計画地は志津川。八幡川の河口付近に新たに設置する人道橋が対象。1次審査には215点の応募があった。 図①  選定された5作品の特徴を見ると、並木氏らは「祈りの杉」をコンセプトに、橋の中央に祈りの象徴として杉丸太をつり下げる案とした。=図① 図②  森氏らの提案は、海に張り出すような円弧形状にし、中心部に劇場のようなスペースを設ける。=図② ...

2015年6月25日木曜日

【回転窓】伝統行事も担い手不足

 「受け手も担い手も減っていて、存続が心配」。秋田県男鹿半島を旅して「なまはげ」の風習について聞くとそんな答えが返ってきた▼なはまげは、怠け心を戒め、無病息災や豊作・豊漁をもたらす来訪神とされる。大みそかに、「泣く子はいねが!」と家々を回るのだが、「泣く子どころか、子ども自体がなかなかいない」と地元の方も苦笑い▼担い手不足も深刻だ。本来、なまはげ役は未婚の男性が務めることになっているが、若者も減っているため、後継者の確保が困難という。仕事がないため、若者は都会に出て行き、いったん離れるとなかなか戻ってこない。多くの過疎地に共通する構図だ▼男鹿の温泉街も厳しいようで、閉館して放置された旅館を目にした。廃屋も多いそうだ。ある集落では、駐在所が廃止となり、土地と建物が売りに出されるありさまに▼とはいえ、住んでいる人たちから不幸な印象を受けたわけではない。むしろ、自然と共に生きる豊かさのようなものを感じた。地域が存続していくには、地場産業が踏ん張るしかない。地域の一角を担う建設産業の働きが、今こそ問われていよう。...

【ベトナムで頑張る】三井住友建設が越の高速道路工事を連続受注

 三井住友建設は24日、ベトナム高速道路公社から、ホーチミン市郊外で計画されている総延長約3・2キロの長大橋梁建設工事を現地の建設会社シエンコ4との共同企業体(JV)で受注したと発表した。同市とカイメップ・チーバイ港を結ぶ南北高速道路(58キロ)の1工区で、日本の政府開発援助(ODA)によって建設する。同社は昨年7月に隣接工区を受注しており、今回の受注によって、ODA工事区間11キロのうち2工区合わせて7・9キロを担当することになる。  三井住友建設・シエンコ4JVとして受注した。JVの受注総額は約201億円。JVの出資比率は三井住友建設65%、シエンコ435%。工期は42カ月。  工事名は「南北高速道路建設工事(ベン・ルックーロン・タイン区間)パッケージJ3」。設計は、片平エンジニアリング・インターナショナル、大日本コンサルタント、オリエンタルコンサルタンツグローバル、トランスポート・エンジニアリング・デザインの4社JVが担当している。  工事規模は、橋梁延長2982メートル...

【一歩一歩着実に】JICAがトンガの埠頭整備に無償資金協力

ファウア埠頭に整備する護岸や旅客ターミナルビルの完成イメージ  国際協力機構(JICA)は、トンガ政府が進める「国内輸送船用埠頭(ふとう)改善計画」を対象に33億2000万円を限度とする無償資金協力を行う。同国政府と贈与契約を締結した。  埠頭改善計画では、首都ヌクアロファにあるヌクアロファ港で、小型国内輸送船が使用しているファウア埠頭に旅客ターミナルと岸壁、泊地などを新設し、船舶の大型化に対応する。旅客の乗降時の安全確保と、荷役作業の分離による貨物輸送の効率化を図る。  実施機関は社会インフラ省。支援内容は岸壁の新設、旅客ターミナルビルの建設、航路と泊地(浚渫含む)整備のほか、太陽光パネルや航路標識などの機材供与。コンサルティングサービスとして詳細設計、施工監理も行う。詳細設計を含めた工期は33カ月を見込む。...

【東北の現場から】市民文化会館建設工事(福島県白河市)

  16年3月の完成へ工事は佳境を迎えている  ◇遮音性確保に最大限配慮◇  福島県白河市のJR白河駅前で、大規模なコンサートや演劇を行える「(仮称)市民文化会館」の建設工事がピークを迎えている。現施設が老朽化したことから、駅前の線路沿いに最新の防音設備、音響設備を備える多機能ホールを移転・新設する。施工は大成建設・兼子組JVが担当。昨年3月に本格着工し、これまでに建て方を7割以上終えた。全体の進ちょくは5割超。来年3月の完成を目指し、工事が後半戦に入る。  建設地は同市会津町1の17ほか。JRの操車場跡地を市が買い取り、市民が文化・芸術に触れられる新たなホールの建設に着手した。事業には社会資本整備総合交付金を充当。16年度内の開業を目指している。  新施設は、大きく分けて1104席の大ホールと321席の小ホールで構成する。規模は地下1階地上4階建て延べ9783平方メートル。構造はS・RC・SRC造。基本・実施設計は日本設計が手掛けた。現市民会館(手代町22の1)の座席数は...

【橋梁って、本当に美しい・・・】米土木学会がフォトコンの結果発表

全体部門で1位となったAhmad Rosyadi さんの 「バリトー橋」(ASCE・FaceBookより)  米国土木学会(The American Society of Civil Engineers、ASCE)が「橋梁フォトコンテスト」の入賞作品を発表した。すべての橋梁が対象の部門で1位となったのは、インドネシア・ボルネオ島のバリトー橋を写した1枚(撮影はAhmad Rosyadiさん)。インドネシア最大級の橋梁で、メーンスパンが230メートルの吊り橋だ。   ほかにも海外の橋を写した作品が多く見られた。学生部門の次点作品は、インド・ムンバイのラジブ・ガンジー・シーリンク。主橋は最長支間250メートルの3径間斜張橋で、全長は5.6キロにも及ぶ巨大な海上橋だ。   どの写真も絵のようで美しいが、目を引くのは新設橋部門の1位となった米テキサス州ダラスのマーガレット・ハント・ヒル橋。著名なスペイン人建築家で橋も数多く手掛けるサンティアゴ・カラトラバ...

2015年6月24日水曜日

【じいじに頑張ってもらおう】日建協・女性技術者会議がゼネコン保育所整備など提案

 日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、植村芳輝議長)は22日、傘下組合の女性技術者が働き方の「ロールモデル」を議論する女性技術者会議を東京都内で開いた。13人の参加者が3班に分かれ、それぞれモデルを検討=写真。複数のゼネコンが連携した「ゼネコン保育所」や、子育て世代が交流する「ゼネコンママ会」の設置に加え、退職した男性らの「ゼネじじ」による子育てや若手技術者の支援体制の構築などを提案した。介護と向き合う体制の整備も課題に挙げた。  女性技術者会議は、女性の視点から建設産業のワークライフバランス(仕事と家庭の調和)を議論するため09年度に設置した。女性技術者を増やす方策などを検討し、14年は建設産業に女性を増やすために、女性に合う作業着の導入や、女性のロールモデルの提示などを提案した。この日は「誰にとっても働きやすい建設産業を実現するために必要なこと」と題し、仕事と生活の両面から、22歳から定年までのロールモデルをあらためて検討してもらった。  ◇ゼネコン保育所、「ゼネじじ...

【日々刻々と進化中】三菱電機がリアルタイムレーザー点群生成技術開発

3D空間位置データのリアルタイム表示例  三菱電機は23日、測量調査などの際の車両走行中に、3次元空間位置データをリアルタイムで作成できる「リアルタイムレーザー点群生成技術」を開発したと発表した。保有技術の高精度GPS(衛星利用測位システム)移動計測システム「モービルマッピングシステム(MMS)」を活用。計測後に必要だったデータ処理を行わずに、その場で3次元空間位置データを作れるようにした。今後、測量に加え災害対策、警備・監視など多分野への展開を目指し製品化を進める。  ◇現場で3次元位置データ作成◇  MMSは、GPSアンテナやレーザースキャナー、カメラなどの機器を車両に搭載し、走行しながら道路周辺の計測データを取得するシステム。測量や路面調査、トンネルの調査点検などに活用されてきたが、3次元空間位置データを作成する際は、取得データをGPS位置補正情報と組み合わせる事後処理が必要で、計測結果を現場ですぐに確認できない点が課題だった。  そこで同社は、リアルタイムでデータ...

【Woman】鹿島東北支店土木部技術設計グループ・近藤奈津子さん

 ◇フィールドで仕事がしたい◇  仙台市に生まれ、岩手県の大学で農業土木を学んだ。学生時代から野外での活動や体を動かすことが好きで、「フィールドに出て仕事をしたい」との思いが強く、建設業を志望。最初に採用面接を受けた鹿島にとんとん拍子で入社が決まり、土木技術者の道に進んだ。  大学3年生の時、鹿島が施工を担当していた胆沢ダムを見学し、土木工事のスケールの大きさに魅了された。その数年後、自らが鹿島の社員として胆沢ダムに配属されることになるとは思ってもみなかったという。  入社後、胆沢ダムの現場事務所に4年勤め、施工監理の基礎を身に付けた。工事が円滑に進むよう準備や調整を行い、作業員に指示を出す日々。ダム現場に配属され4年目に試験湛水を迎え、大きな達成感を覚えるとともに土木工事の面白さを知った。  約700人いる支店職員のうち女性技術者は3人と少ないが、女性だから苦労したということは特にないという。初めて現場に出た時は「むしろ周囲がとまどっているようにも見えたが、すぐに溶け込むこ...

【働き方を変えてみよう】建設技術研究所が朝型勤務制度を試行

 建設技術研究所は、働き方改革の一環として、7月1日から「朝型勤務制度」を試行する。対象は約1400人(契約社員を含む)。午前5~8時に出勤して働いた社員の時間外手当を割り増しする。朝型勤務は生産効率の向上、午後5時以降の残業時間の減少、家族と過ごす余暇時間の確保、社員の健康維持・増進につながるとみている。試行期間は9月30日まで。  日本経団連からの朝型勤務を奨励する要請文を踏まえ、同社は夕方以降の社員の余暇時間を充実させる生活スタイルへの変革を目指す朝型勤務制度の試行を決めた。  現在は午前8~9時に働いた社員のうち、月給制の社員に時間外手当として通常の130%分を支払っている。年俸制の社員には手当の割り増しはなかった。  朝型勤務制度では、午前8~9時は従来と同様の仕組みを継続。午前5~8時に出勤して始業した場合、月給制の社員は時間外手当割増率を130%から160%に引き上げる。年俸制の社員は早朝勤務手当(1時間当たりの基準内給与に0・25を乗じた額)を支給する。  同社は試行期間終了後に社員にアンケートを行い、改善点についての意見を収集。本制度化に向けた検討を進める。...

【女性目線で環境づくり】日測協が「女性の技術力向上委員会」設置

委員会のメンバーになった8人(右から4人目が杉森委員長)  日本測量協会(日測協、村井俊治会長)は23日、「女性の技術力向上委員会」を設置した。技術力の向上や最新技術の習得に向けた方策を検討するとともに、測量業界への女性の入職促進策、女性が働き続けられる職場環境の改善策を議論し、来年5月に「アクションプラン」をまとめる。  日測協は、プランに盛り込まれた施策を来年度から実行に移す。  設立時のメンバーは朝日航洋、国際航業、パスコ、アジア航測4社に勤務する8人。委員長には朝日航洋の杉森純子さんが就いた。今後、約10人のメンバーの増員を行う。7月に初会合を開く。  同協会は、技術者不足が深刻化する中、女性技術者の入職促進と働きやすい職場づくり、結婚や出産で退職した女性技術者が職場復帰できる環境の整備が急務と判断。多岐にわたる業務分野(実測、航測、製図、設計、データ作成など)の知識や最新技術の習得が、家庭や育児などの事情に応じた部署異動による雇用継続や、職場復帰をしやすくするとみて、...

【ガンバ大阪の新拠点】吹田市立スタジアムの屋根免震建て方が完了

屋根架構パース ◇3Dトラス構造採用、鉄骨重量削減と工期短縮を実現◇  竹中工務店は、大阪府吹田市で進めている「(仮称)吹田市立スタジアム」の建設工事で、屋根の鉄骨建て方工事を完了した。大規模スタジアムでは国内初となる屋根だけを免震装置で支える構造を採用。縦・横・斜めの3方向に鉄骨トラスの梁を架ける「3Dトラス構造」も適用した。二つの技術の導入によって、従来方式と比べ、屋根に使用する鉄骨重量を約3割削減し、屋根の鉄骨建て方工程を2カ月短縮。最大3センチの屋根の熱伸縮も屋根免震で水平方向に逃がすことも可能にした。  同スタジアムは、募金で建設費を賄い、サッカーJリーグの「ガンバ大阪」のホームスタジアムとして使用される。同社は、スタジアム建設募金団体(吹田市)が行った設計・施工者を決める指名プロポーザルに参加。限られた建設費でプロサッカーの試合が行える質の高いスタジアムを施工するため、屋根の施工計画に二つの技術の導入を提案し、受注を決めた。  スタンドを覆う屋根の面積は約2万30...

2015年6月23日火曜日

【5年ぶりのお目見え】下久保ダム(埼玉県神川町)が4門放流するぞー

 埼玉県神川町にあり水資源機構が管理する下久保ダムが6月28日、クレストゲート(非常用洪水吐)と常用洪水吐の点検放流を実施する。この放流、ただの放流とは訳が違う。それはクレストゲート2門と常用洪水吐2門から同時に水を流す、4門一斉放流が見られるのだー。  4門一斉放流の実施は10年6月以来5年ぶり。水資源機構が同ダムの管理を開始した1969年以降で見ても3回目という、レア中のレアな出来事。管理事務所は、今回の点検放流に合わせて管理用エレベーターの開放、テレビドラマのロケに使われた場所の案内、地元の名産品が手に入る臨時売店などを行うほか、群馬県坂東発電事務所の協力を得て、水力発電所の見学会も開催するという。  天候次第でスケジュールの変更はあるそうだが、現時点では午前10時に放流を開始し、午後2時まで見ることができる。ロケ地見学は全部で5回行う予定で、先着順で午前10時から整理券を配布するそう。所要時間は約1時間。車でお越しの際は120台収容可能な「三波峡終車場をご利用下さい」と...

【震災復興を強力後押し】JICAがネパールで耐震住宅のモデル紹介

   国際協力機構(JICA)は、大地震に見舞われたネパールの復興支援として災害に強い住宅を紹介するイベントをカトマンズ市で開催する。住宅再建が喫緊の課題になっている状況を踏まえ、現地で調達可能な資材を使い、簡易で安価に住宅が建設できる施工事例を紹介するという。  展示するのは、都市向けモデルとして鉄筋コンクリート(RC)構造住宅2棟と、3~5階建て民間住宅の耐震補強法に加え、地方山間部・農村部向けモデル。避難所などが設けられない山岳地域の農村エリアでは、被災場所に公共の支援でテントシェルターなどを支給し、その資材をそのまま活用して耐震性を持たせた石積み住宅を建設するという、対応方法を提案する。  イベント会場はカトマンズ市内にあるトリブバン大学工学部キャンパス内。6月24日と25日の2日間に渡って開催する。JICAは、ネパールの震災復興支援を本格化させており、インフラ復旧などの調査業務を発注するなど取り組みを着々と進めてい...

【記者手帖】男性技術者の朝の参拝

 出勤途中に通り掛かる神社の前で、作業服の初老の男性をよく見掛ける。ヘルメットを抱え、左腕には「監理技術者」の黄色い腕章。参道には入らない。安全靴のかかとをそろえ、いつも鳥居の前で境内に向かって頭を下げている。現場が動きだす前のひととき、引き締まった表情を見ると、こちらも背筋が伸びる思いがする◆全国安全週間を前に建設会社の安全大会の取材が続いている。これまでの取材を振り返ると、労働災害を防ぐための対策は作業手順の順守や指差し呼称、リスクアセスメントなどさまざまだが、結局はお互いへの思いやりや気配り、優しさに尽きるように思う◆今朝も例の男性技術者を見掛けた。真剣な面持ちで頭を下げる姿から、現場の全員が一日を安全に過ごし、無事に家に帰れるようにと願う思いが伝わってくるようだった◆男性技術者の家族や仲間は、毎朝の参拝のことを知らないかもしれない。でもきっと、そんな見えない思いのようなものがものづくりの現場や社会を支えているのだろう。現場へ向かう技術者に心の中で「ご安全に」と声を掛け...

【見ることで学べることがある】首都高速会社が土木系大学生招き都内で点検・補修実演

 首都高速道路は、高速湾岸線高架下の辰巳補修基地内(東京都江東区)に大学で土木工学を専攻する学生56人を招き、点検・補修モンストレーションを行った。今年で15回目の「首都高施設安全月間」の取り組みの一環。首都高速道路の事故防止や安全性向上につながる技術・システムなどを公開した。  学生らは複数の班に分かれ、点検車両や点検機器、補修技術などを見て回った=写真。実際に使われている高所作業車のデッキに乗り、鋼橋の亀裂調査や点検業務を体験。超音波を利用して鋼構造物に入った亀裂を確認する非破壊検査・磁粉探傷試験など、さまざまな点検・補修技術を間近で見学しながら、担当者の説明に熱心に耳を傾けてい...

【スタジアム整備、本当に多いなー】栃木県が総合スポーツゾーン再整備構想/宇都宮市に2・5万人収容新スタジアム

新スタジアムの完成イメージ  栃木県は、宇都宮市西川田に各種のスポーツ施設を再整備する「総合スポーツゾーン構想」のうち、中心的施設となる新スタジアムと新武道館の基本設計の概要を公表した。新スタジアムは延べ約4万平方メートルの規模で工事費は約173億円(税抜き)、新武道館は延べ約9000平方メートルの規模で、工事費は約58億円(同)を見込む。  新スタジアムの基本・実施設計は久米設計・AIS総合設計(宇都宮市)・本澤建築設計事務所(同)JV、新武道館の基本・実施設計はAIS総合設計・フケタ設計(宇都宮市)・田村忠設計事務所(同)JVが担当している。新スタジアムの構造は、躯体がRC造4階建て、屋根は膜構造で鉄骨架構を採用する。観客席は車いす席を含め約2万5000席を確保する。第1種公認陸上競技場(全天候型舗装、9レーンの400メートルトラック)と、Jリーグの施設基準に準拠したサッカー場(天然芝105メートル×68メートル)を兼用する。  ◇新武道館は延べ9000平米規模、17...

【回転窓】安全追求は特別なことではない

 7月1日に始まる全国安全週間に向けて建設業界ではこの時期、安全大会の開催が相次ぐ。本紙も連日、ほぼすべてのページに各社の安全大会開催を伝える記事が載り、「死亡災害ゼロ目指す」「初心に帰ってゼロ災継続」といった見出しが躍る▼労働災害の発生件数が工事需要の増減と相関関係にあることは、過去の統計を見ても明らか。09年以降、死傷者数は横ばい状態が続いていたが、震災復興や景気回復による需要増が鮮明になった昨年からは増加傾向に転じている▼数多く掲載される安全大会の記事の一つに目が留まった。22日付5面にあった小俣組(横浜市南区、小俣務社長)の記事。同社は大正11(1922)年の創業以来、死亡事故ゼロを続けているという。東京五輪後にやってくる100周年を死亡ゼロで迎えることを当面の目標に掲げる▼「安全第一」という言葉が生まれたのは20世紀初頭の米国。ある鉄鋼メーカーが掲げた経営方針は、結果的に働きやすい職場と効率的な人材育成につながった▼安全の追求は決して特別なことではない。小俣組の記事に...

2015年6月22日月曜日

【習うより慣れろ!?】高校生が鉄筋組み立てに挑戦

慣れない作業に高校生達は四苦八苦 千葉県立京葉工業高校(千葉市稲毛区、關敏昭校長)は19日、鉄筋組み立ての講習会を開いた。千葉県鉄筋業協同組合(池田愼二理事長)が協力し、講師として会員企業から10人を派遣。講習会には建設科の3年生32人が参加し、講師の指導を受けながら鉄筋の組み立てに取り組んだ。施工現場の専門的で実践的な技能・技術の習得と建設業への理解を促し、生徒の職業観を養うのが狙い。同校では今回が5回目の開催となる。  冒頭、關校長は「きょうは皆さんのためにたくさんの人が集まった。この講習会が有意義なものになるようにして下さい」とあいさつした。  続いて池田理事長は「あいにくの雨だが、雨をよけて講習ができるよう準備をしていただき、この講習会にかける学校側の熱い思いを感じている。先生方の思いに負けないようにわれわれも頑張りたい。きょうの講習を将来に役立て、業界に入ってもらって一緒に仕事ができたらうれしい」と述べた。  参加した32人(建設、土木コースそれぞれ16人)は、鉄筋工...

【水中ロボでダムの健康チェック】五洋建設が大水深構造物調査ロボ開発

開発した水中調査ロボ「CETUS-V」  五洋建設は、大水深構造物の点検用に遠隔操作無人探査機(ROV)を用いた水中調査ロボットを開発した。計測用の光学カメラや音響カメラによる画像取得機能に加え、調査箇所を清掃(ケレン)した上で鋼材の肉厚測定やコンクリートの打音検査を行える機能も搭載し、高精度の点検を実現する。国土交通省の公募事業として、最深部約140メートルの宮ケ瀬ダム(神奈川県)で実証試験を行い、性能を確認した。濁り対策などの改良を加え、海洋・港湾構造物にも展開していく。  開発した「CETUS―V」は、長さ80センチ、幅50センチ、高さ48センチ。検査面をケレンする清掃装置、コンクリートの健全度を把握する打音検査装置、鋼材の肉厚を計測する肉厚計測装置を備える。  前後、左右、上下の移動は6個のスラスターで行う。計測用光学カメラで対象構造物のクラックの長さや幅を把握し、音響カメラは濁った水中での画像取得に使う。最深150メートルまで対応できる。  汎地球測位航法衛星システム...

【回転窓】「山」を知る

 「鏡をツブすな」。主人公(石原裕次郎)の父・源三がトンネルの切羽が崩れる中、危険を顧みず、丸太を持って崩壊を止めようと切羽に向かっていく。映画「黒部の太陽」の1シーンだ▼トンネル工事は今、NATMが全盛で、在来の「矢板工法」に比べると、安全性が格段に高まっている。それでも自然が相手なだけに、油断をすれば、「湧水」や「肌落ち」「盤ぶくれ」などのトラブルが襲い掛かる▼日本トンネル専門工事業協会(野崎正和会長)が、技術の伝承を目的に矢板工法の施工法やその経験談をまとめた冊子「トンネル技術・技能の伝承その2/トンネル掘削技術」を作成した▼ロックボルトや吹き付けコンクリートがない時代に、先達が複雑な日本の地山を掘削するためにどのような技術や技能を駆使したのかが記載されている。その中には、鍛冶や木材加工の技術を駆使して支保工をつくる「斧指(よきさし)」という職種も紹介されている。今はもうない職種という▼「黒部の太陽」では、切羽が崩れる前に誰かが「山が鳴いている」と叫ぶ。この冊子を通じて、若い技術者に「山」をもっと知ってほしい。...

【凛】経済産業省商務情報政策局製品安全課係長・鎌田いづみさん

 ◇出向で奮闘、建設業の魅力知る◇   国土交通省に2年間勤務し、6月1日付で後ろ髪を引かれるように古巣の経済産業省へ戻った。  国交省では、土地・建設産業局建設市場整備課労働資材対策室の労働係長として、主に技能労働者育成に関連する施策を担当した。業界の会合に出席する機会も多く、持ち前のキャラクターで場を明るくすることもしばしば。だが、出向当初は「建設業の勝手が分からず、なじめないことに悩んだ」と振り返る。  13年7月に太田昭宏国交相が、初めて富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)を視察。そのための事務や調整を託された。悩む暇もなく、仕事に没頭した。視察を終えた太田国交相は、センターの機能を拡充する方針を表明。老朽化した施設の建て替え計画が大きく動きだすきっかけになったことが特に印象深いという。  9月16日に予定されている建て替え工事の起工式には出席できそうにないが、「施設が新しく生まれ変わるのは今から楽しみ」と笑顔を見せる。  経産省に戻る内示があった後、ある...

【中堅世代】それぞれの建設業・99

技術革新で現場管理のあり方も激変する  ◇道具に使われる野ではなく、使いこなせ◇  現場で新しいことをやろうとすると、昔は職人たちから嫌な顔をされた。情報化施工などでIT関連の技術を導入するのにも、理解してもらうのに一苦労だったが、最近は職人側の拒否反応が薄れてきた。ゼネコンの建築技術者として長年、数多くの現場を見てきた近藤太一さん(仮名)はそう実感する。  現場管理の効率化の一環でiPadなどのタブレット型携帯端末を職長に持たせても、すぐに慣れて日常作業で活用している。現場管理システムの高度化が急速に進む中で、職人側の順応性も高まっていると感じる。  「アラフィフ(50歳前後)のわれわれガラケー世代と違い、20~30代の職人はほとんどがスマートフォンを使いこなす。パソコンなどITツールが幼いころから身近にあるため、最新のシステムなども違和感なく受け入れるのでは」  IT分野の技術革新は目覚ましい。携帯端末も多機能・高性能化が進み、オフィスのパソコンと同じようなことを手元でで...

【駆け出しのころ】東鉄工業取締役常務執行役員土木本部長・井上和男氏

 ◇現場と人よく見てまとめ上げる◇  都内で土木会社(とび工事)をやっていた叔父から、小さいころに東京タワーや橋梁の鉄骨組み立て工事などの話をよく聞かされていました。自然に土木の道に入ったという感じです。大学では鉄道工学の研究室に所属していたこともあり、就職担当の教授に東鉄工業を勧められました。入社する時に知ったのですが、実は叔父の会社が東鉄工業の協力会社をしていたんです。これも縁かなと思い入社しました。  昭和49(1974)年に入社した五十数人の同期と、代々木オリンピック村で10日間ほど研修を行いました。その時に配属先の希望を聞かれ、「出身の千葉以外どこでもいいです」と答えたのですが、配属先は千葉支店でした。  最初の現場は線路と高速道路を立体交差化する工事で、仮線を敷設してから鉄道橋を造る仕事でした。新たに始まる現場だったので、測量から実務を始めることができました。測量に明け暮れた3カ月。ここで機器の取り扱いや校正、水準測量、平板測量、カーブセッテングなど測量に関する一...

【サークル】長谷工グループ・着付クラブ

 ◇「美しい所作学び、しぐさまで美しく」◇  26年ほど前に着物好きが集まる同好会としてスタートし、その後、会社公認の部に昇格。現在は長谷工グループ各社の女性社員約13人で活動中だ。「着物を美しく装うことにより、日本の素晴らしい文化を継承していきたい」という先生の教えの下、毎月、着付けや着装した際の立ち居振る舞いなどを楽しみながら学んでいる。  浴衣の着付けから始めた初心者も、振り袖、留め袖などの着装だけでなく、自分で着ることのできない人に着付けて上げられるようにもなる。代表の宮坂典子さん(広報IR部広報室)は「美しい所作を学ぶことで、しぐさまで美しい女性を目指しています」と笑みをこぼす。  仕事帰りに浴衣を着て神楽坂のほおずき市に繰り出すのが年に一度の恒例行事。このほかグループ社員を対象にしたイベント「ゆかたで盆踊り大会」を会社と共催で開いている。今年は7月31日に開催予定で約35人の参加を見込んでいる。  女性社員が少なく、着物を持っていない人が多いため、着付けを始めたい...