茨城県つくば市が、高エネルギー加速器研究機構南側の未利用地(大穂1の1、敷地面積45・6ヘクタール)で計画している「総合運動公園」の整備事業が中止の危機に直面している。305億円という事業費や施設規模が過大だとして、市民から反対の声が上がっているためだ。市は、反対住民からの直接請求を受け、8月2日に事業の是非を問う住民投票を実施することを決めた。結果次第では事業が取りやめになるだけに、注目が集まっている。
市がまとめた基本計画によると、計画地に国際的・全国規模の大会が開催できるスポーツ施設群(総延べ15万7900平方メートル)を整備する。このほか、宿泊施設やスポーツ医・科学センターなども整備する予定だ。
敷地の中央にはメーン、サブアリーナを備える総合体育館(1万8500平方メートル)や屋内プール(7000平方メートル)を配置し、西側には陸上競技場(5万3000平方メートル)を整備する。東側には多目的グラウンド(3万0700平方メートル)、南側にはフットボール場(1万7000平方メートル)やテニスコート(5500平方メートル)などをそれぞれ造成する計画。基本計画・基本設計は梓設計・建設技術研究所JVが担当している。
事業費の内訳は建設費が239億円、用地取得費が66億円。このうち140億円に国の補助金、148億円に地方債、7億円に総合運動公園整備基金を充てるため、市の一般財源からの持ち出しは10億円程度になる見込みだ。
市内には、合併前に旧町村単位で造られたスポーツ施設が分散しているほか、小・中学生の公式記録会を開催できるレベルの会場がないなどの課題があった。このため、市民から総合運動公園の整備要望が出されていたが、建設地がつくばエクスプレスつくば駅から8・3キロと遠いことや、計画の進行とともに施設の仕様が国際的な大会が開ける規模にまで拡大し、事業費も膨れ上がったことから、疑問や反対の声が市民から出るようになった。
市は、工期(実施設計~竣工)を▽第1=15~18年度▽第2=18~21年度▽第3=21~24年度-の3期に分けて整備を進めるとしていた。第1期の実施設計を15年度中にまとめる予定だったが、3月の市議会で事業の予算が承認されなかったため未着手のままだ。住民投票の結果、事業の実施が決まってもスケジュールは変更になる可能性が高い。
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