2015年6月11日木曜日

【完全週休2日】東北整備局が「土日休める現場」を試行導入

休みたくても休めない。建設現場は長年、この問題を解決できずにいる
 東北地方整備局が、若手技術者の確保と職場環境の改善を図るため、建設現場での完全週休2日制を試行導入する。仙台河川国道事務所発注の工事3件と、北上川下流河川事務所発注の工事1件が対象。土日の完全閉所によって生じる課題を抽出し、必要な解決策の検討を行う。試行工事を通じ、完全週休2日制を導入するに当たっての問題・課題を整理するとともに、解決策の検討を行う。

 ◇人材確保・育成の一助となるか◇

 入職者不足や若手技術者の離職が大きな課題となる中で、東北地方整備局が試行する建設現場での完全週休2日制の実施を、非常に重要な取り組みと捉える向きは多い。
 宮城県公共工事品質確保安全施工協議会の千葉嘉春会長(熱海建設社長)は「土日を休めるかどうかは、若者にとって就職先を決める選択肢の一つになっている。実際にどのような問題が発生するのか、やってみないと分からないが、新卒者が入っても離職が多いという問題を打開するためにも、完全週休2日制にしっかりと取り組む必要がある」と話す。
 確かに課題は少なくない。天候に左右されるという建設業の特性や企業経営上の理由、例えば大型機械などのリース期間を短くするために土曜日に現場を動かすといった事情もある。用地交渉など外部要因によって工程が厳しくなるケースもある。東北整備局では現在、現場の不稼働率を1・67に設定している。週休2日が可能な工程で発注しているという立場だが、さまざまな要因から、実現には至っていない。

 ◇協力会社や現場技能者の意向も重要◇

 日給月給制で勤務している技能者にすれば、休日を取得するより、できるだけ多くの出勤日を確保して収入を増やしたいと考えるケースもあり、週休2日の実施に当たっては協力会社や現場技能者の意向を十分に踏まえる必要がある。千葉会長は、自社の受注現場での試行に際し、協力会社とも協議し、集中して早出を行うといった対応でカバーすることにしたという。
 働き手の意識が大きく変わる中で将来的に担い手を確保していくためには、「土日が休める業界と言えるような実績を積み上げていくしかない」(千葉会長)。東北整備局では、公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)の運用指針を踏まえ、実施に当たってのポイントを作成。業務環境の改善へ向け、休日前日に資料作成を依頼しないといった取り組みの徹底を図ろうと動きだしている。土日閉所にはこうした官民連携による努力が不可欠と言えそうだ。

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