2015年6月24日水曜日

【ガンバ大阪の新拠点】吹田市立スタジアムの屋根免震建て方が完了

屋根架構パース
◇3Dトラス構造採用、鉄骨重量削減と工期短縮を実現◇

 竹中工務店は、大阪府吹田市で進めている「(仮称)吹田市立スタジアム」の建設工事で、屋根の鉄骨建て方工事を完了した。大規模スタジアムでは国内初となる屋根だけを免震装置で支える構造を採用。縦・横・斜めの3方向に鉄骨トラスの梁を架ける「3Dトラス構造」も適用した。二つの技術の導入によって、従来方式と比べ、屋根に使用する鉄骨重量を約3割削減し、屋根の鉄骨建て方工程を2カ月短縮。最大3センチの屋根の熱伸縮も屋根免震で水平方向に逃がすことも可能にした。
 同スタジアムは、募金で建設費を賄い、サッカーJリーグの「ガンバ大阪」のホームスタジアムとして使用される。同社は、スタジアム建設募金団体(吹田市)が行った設計・施工者を決める指名プロポーザルに参加。限られた建設費でプロサッカーの試合が行える質の高いスタジアムを施工するため、屋根の施工計画に二つの技術の導入を提案し、受注を決めた。
 スタンドを覆う屋根の面積は約2万3000平方メートル、総重量は約3500トン。免震装置はスタンド外周に16基(高減衰積層ゴム8基、直動転がり支承8基)設けた。
 免震装置で支えることで、地震時の屋根の揺れを約1割低減でき、損傷も防止できる。構造部材の断面寸法も小さくできるため、視認性の向上や軽量化とコスト削減につながる。直射日光を受ける鉄骨トラスの熱伸縮にも対応できる。屋根免震構造は特許を出願中だ。
 3Dトラス構造は、スタンド外周部の柱に向け鉄骨トラスを3方向に架ける仕組みで、ロの字形状の屋根を形成する。
 このスタジアムの場合、長辺と短辺の2方向にトラス構造の梁を設ける従来方式を採用すると、柱スパンが最大200メートルにも及ぶが、3Dトラス構造なら半分の約100メートルに抑えられる。部材断面も縮小でき、屋根に使う鉄骨重量も約3割軽くできた。
 トラスの弦材も既製品の角形鋼管を使い、工期の短縮や仮設工事費、鉄骨工事費の削減に貢献した。3Dトラス構造は特許登録済み。
 同スタジアムは13年12月1日に着工。規模はRC・S造6階建て延べ6万6355平方メートルで4万人を収容する。スタンド部分には制震構法を採用している。完成は15年9月30日の予定。コンストラクション・マネジメント(CM)業務を安井建築設計事務所が担当している。

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