20年ほど前、東京都内のビルの36階で、立っていられないほどの揺れに襲われたことがある。震度3と特に大きな地震ではなかったが、高層ビルで起きる揺れの増幅の怖さを実感した▼それから16年。東日本大震災の揺れを、東京都心の免震構造の建物の中で経験した。都心の震度は5強だったが、揺れを感じたのは一瞬。免震ゴムが働いて揺れを瞬時に抑え込んだ▼免震建物が増えたのは1995年の阪神大震災以降。最近は年間の建築着工床面積の約5%を免震建物が占めるそうだ。当初は中層ビルに適用が限られた免震ゴムも、今は超高層ビルに使えるようになっている▼技術の進歩には性能検証も欠かせない。日本免震構造協会の担当者によると、直径80センチ以上の免震ゴムの性能を精密に検証できる施設は米国にしかなく、2年先まで予約でいっぱいという▼国に施設整備を求める動きもあるが、免震ゴムの性能偽装問題に揺れるメーカー各社が資金を出し合い、第三者が評価する仕組みと併せて施設を整備してはとの声も一部にある。普及の動きを止めないためにも、まずは「隗より始めよ」ということか。
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