山肌を縫うように整備された道路 |
◇延長160kmのシンズリ道路、安藤ハザマ20年かけ建設◇
ネパール側からの要請は強く、92年からはFS結果の見直しを目的としたアフターケア調査を実施。93年に洪水でプリチビ道路が閉鎖され、カトマンズ盆地が20日間孤立する災害に見舞われたのを機にシンズリ道路の重要性があらためて認識され、96年の着工に至った。
ルートは北西からドリケル、ネパールトック、クルコット、シンズリバザール、バルディバスに至る160キロ。うち、バルディバス~シンズリバザール間38キロは既存道路の改修、シンズリバザール~ドリケル間122キロは原野を切り開いた未舗装道路や林道のため、新たに道路を建設することにした。設計速度は30キロ。
第3工区を担当した猪狩哲夫プロジェクトマネジャー |
最初に第1工区の橋梁と河川沿いの堤防付き道路構造物(コーズウェイ)を構築。次に第4工区の新設道路50キロを建設した。その後、全区間新設となる第2工区に着手。マハバラット山脈を横断する難しい工事で、10年の工期を要した。最後の第3工区はスンコシ川沿いの険しい山岳地帯に新しい道路を通した。
◇移動時間が半減、経済効果に大きな期待◇
カトマンズ~東タライ間は従来ルートで340キロ、9時間かかっていたが、シンズリ道路を使うと190キロ、5時間と大幅に短縮。約17億ルピーの経済効果をもたらすと期待されている。
無償資金の総額は270億円で、JICAが実施した道路インフラ案件の無償資金協力事業としては過去最大という。
全工区に関わり、第3工区でプロジェクトマネジャーを務めた安藤ハザマの猪狩哲夫氏は「完成した道路が使われ、農業の発展や地域経済の活性化が進むことに期待している」と話している。
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