日刊建設工業新聞社とKDDIは共同で、全国建設業協会(全建)傘下の1万8000社余りを対象に「建設業の高齢化に伴う人材確保とICT(情報通信技術)の導入」についてアンケートを実施した。それによると、企業規模が小さくなるほど女性技術者や若年技術者の採用が少なくなる傾向が強まることが分かった。規模の小さい企業ではICTの導入が遅れている現状も浮き彫りになった。
調査は、5~6月に1万8373社を対象に郵送方式で実施、4198社から回答(回収率22・8%)を得た。回答企業を規模(従業員数)別に30人以下、31人以上100人以下、101人以上の3カテゴリーに分けて集計した。
従業員の年齢構成では全従業員に占める50歳以上の割合が「3割以上」と回答した企業が4分の3以上を占めた。企業規模別に見ると、30人以下の企業では「5割以上」と回答した企業が44・1%に上った。101人以上の企業でも66・6%が「3割以上」と回答。高齢化が建設業全体で進行している様子がうかがえる。
一方、10~20代の若年技術者が占める割合は、企業規模が小さくなるほど低くなり、101人以上の企業でも3割未満にとどまった。過去3年間の採用実績を聞いたところ、30人以下の企業では47・4%が「採用の実績がない」と回答した。一方で101人以上の企業では「6人以上」と回答した企業が86・5%にのぼり、企業規模によって採用動向に大きな差がある実態が分かった。
女性技術者については、30人以下の企業の58・8%が「全くいない」と回答したが、101人以上の企業では4分の3以上が女性技術者を活用していた。
現在の従業員数について全体的に不足感を抱いていることも分かり、101人以上の企業の55・9%は新規雇用や業務の効率化を実践・検討していた。新規採用では、「予定通りに選考できている」と回答した企業は、30人以下の企業では5・6%にとどまった。101人以上の企業でも4分の1程度と少なく、「募集人数に及ばない」「人材が少なく選考が難しい」などと答えた企業が大半を占めた。
地域別では、東京や大阪、名古屋など大都市圏では比較的人材が確保できているが、四国や九州などで苦戦していることも分かった。
人材を雇用するために必要な条件としては、30人以下の企業では「受注量を増やす」との回答が最多。101人以上の企業では「職員の処遇改善」が3分の1を超えた。人材不足への対応策として、再雇用や定年延長での対応や即戦力となるキャリア採用を挙げる企業がどのカテゴリーでも大半を占めた。
女性や外国人労働者の雇用については、101人以上の企業の4分の1が既に採用していたが、30人以下の企業の半数以上は「予定がない」と答えた。
後継者については30人以下の企業の44・1%が「いない」と回答。101人以上の企業では、世襲によらない「後継者と成り得る社員がいる」と回答した企業が43・6%と最も多かった。
ICTの導入状況については、101人以上の企業の多くがスマートフォンやタブレット端末を使ったICTシステムを活用していたが、100人以下の企業では7割超が未導入で、企業規模によりICTの導入に大きな差があることが鮮明になった。
ICTを活用している業務としては、写真撮影・管理、図面確認、施工管理などを挙げる企業が多かった。ICTの導入を進める上での課題を聞いたところ、「ICTシステム自体を理解できない」「新人や年長者が使用方法を理解するのが難しい」などを挙げる回答が多く寄せられた。
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