「受け手も担い手も減っていて、存続が心配」。秋田県男鹿半島を旅して「なまはげ」の風習について聞くとそんな答えが返ってきた▼なはまげは、怠け心を戒め、無病息災や豊作・豊漁をもたらす来訪神とされる。大みそかに、「泣く子はいねが!」と家々を回るのだが、「泣く子どころか、子ども自体がなかなかいない」と地元の方も苦笑い▼担い手不足も深刻だ。本来、なまはげ役は未婚の男性が務めることになっているが、若者も減っているため、後継者の確保が困難という。仕事がないため、若者は都会に出て行き、いったん離れるとなかなか戻ってこない。多くの過疎地に共通する構図だ▼男鹿の温泉街も厳しいようで、閉館して放置された旅館を目にした。廃屋も多いそうだ。ある集落では、駐在所が廃止となり、土地と建物が売りに出されるありさまに▼とはいえ、住んでいる人たちから不幸な印象を受けたわけではない。むしろ、自然と共に生きる豊かさのようなものを感じた。地域が存続していくには、地場産業が踏ん張るしかない。地域の一角を担う建設産業の働きが、今こそ問われていよう。
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