2015年6月28日日曜日

【首都圏Look at】JR大崎駅周辺で再開発活発

大崎駅周辺で進む再開発事業の位置図
 東京都品川区のJR大崎駅周辺で、組合施行の第1種市街地再開発事業を目指す取り組みが活発化している。駅西側の2地区で、地権者らでつくる準備組合が相次ぎ計画を具体化。駅南側の1地区でも、まちづくり協議会が準備組合への移行に向けた動きを始動させる見通しだ。周辺では先行して進んだ再開発事業で高層ビルが集積。かつての工場街は大きく変貌しており、新しい街全体を適正に維持管理したり、さらに価値を高めたりする取り組みも動きだしている。

 ◇相次ぐ再開発計画◇

 駅の西側では、大崎西口駅前地区(品川区大崎3の6ほか、敷地面積約1・4ヘクタール)で既存建物を共同で建て替え、住宅や業務・商業が入る再開発ビルの建設が計画されている。準備組合は6月中に事業協力者を選定。ビルの規模や機能などの検討に入る。
 同地区の東隣の大崎三丁目地区(品川区大崎3の7ほか、敷地面積0・5ヘクタール)では、07年9月に発足した準備組合が、事業協力者の住友不動産と施設の規模や機能を検討中だ。
 「もともと大崎駅周辺は目黒川を主な運搬ルートとして活用した工場が集積していた。昭和50年代から工場移転が増え、跡地で再開発事業の計画が立ち上がり始めた」。品川区都市開発課の溝口雅之課長は、この地域に再開発事業が集中する理由をそう分析する。
 再開発を活発化させる要因がもう一つある。それが「都市再生緊急整備地域」だ。02年7月に駅を中心とした約60ヘクタールの地域が、緊急・重点的に市街地整備を推進する地域として国に指定された。地域内で行われる都市開発事業には税制上の優遇措置などが講じられる。
 指定を受けて駅周辺の開発が加速。駅北側で07年1月に大崎駅東口第3地区、駅西側で同8月に大崎駅西口E東地区、09年9月に同中区、11年3月に同C地区などで組合施行の第1種市街地再開発事業で高層ビルが竣工した。

 ◇エリア一帯の維持管理検討へ◇

 駅西側で新たに計画が具体化する2地区は、都市再生緊急整備地域の外側に位置しており、緊急整備地域の開発機運が周辺地域にも波及した格好だ。
 駅東側では、同様に緊急整備地域内にある北品川五丁目第1地区の施設群「パークシティ大崎」が完成したのを受け、外側に位置する大崎駅東口第4地区(品川区大崎1の16の1ほか)で、地権者らで構成するまちづくり協議会が準備組合への移行に向けた活動を本格化させる方針だ。
 3地区の再開発事業が竣工すれば、「駅周辺で進む街づくりで一定の成果が出てくる」と溝口課長。「今後は街全体を適正に維持管理する手法も重要になる」と指摘する。
 街全体の維持管理に向け、地権者の企業や管理組合などで組織する一般社団法人の大崎エリアマネジメントは、「大崎駅周辺まち運営プラン」を策定し、▽公開空地の活用推進▽防災・防犯対策の強化▽区や町会、商店会との連携強化―などを打ち出した。
 5月30日に開かれたパークシティ大崎の完成式典で、濱野健品川区長は「(大崎駅周辺では)遊べる場所が少ない」と指摘し、「今後は映画館など娯楽施設の誘致を検討したい」との意向を示した。溝口課長も「働く、住む以外で街全体の価値を高める必要がある。駅周辺に来た人が楽しめるような要素を盛り込みたい」と話している。

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