ゲリラ豪雨の頻発で都市の浸水被害軽減は急務 |
◇水道法など3法改正で新制度◇
一括改正された3法は水防法、下水道法、日本下水道事業団(JS)法の3法。改正内容は公布から2~6カ月以内に施行される予定だ。このうち、下水道法とJS法の改正内容の大きな柱の一つが、老朽ストックが増大している下水管の更新・修繕を加速する対策の強化だ。
JSは、自治体からの要請を受けて、下水道施設の整備を自治体に代わって実施する支援業務を行っている。ただし現状では、JSが代行できる範囲は終末処理場の建設など大規模な事業にほぼ限定されており、下水管の整備は代行業務の対象外だ。そこで今回の法改正は、高度な技術力を必要とする下水管の建設を代行業務の範囲に追加。自治体に代わってJSが下水管の整備も一部できるようにする。下水管の更新や修繕は施設の運転を止めずに行う必要があり、新設と違って高度な技術力が求められるためだ。
さらに、自治体からJSに対する委託契約という形式を取っている代行業務の形態も見直し、工事期間中はJSを下水道管理者の自治体と同じ立場に位置付ける。これにより、従来と違ってJSが自治体をいったん通さずに国からの建設費の補助を受けられるようになるなど関係事務手続きを大幅に簡素化できる。下水管の更新や修繕の工事を請け負う建設業界にとっては、JSが代行できるようになることで、老朽化対策が自治体任せになっている現在より、発注工事量が安定するなどのメリットがあるとの見方も出ている。
雨水庶流施設の民間ビル地下への設置イメージ |
国交省の調査によると、下水道施設全般の更新需要は2013年時点の年間約0・6兆円規模から10年後の23年に0・8兆円規模、20年後の33年に1兆円規模に膨らむ見込み。中でも下水道施設の根幹をなす管の老朽化対策は急務。老朽管を放置すれば下水道全体の機能が発揮できなくなり、事故のリスクも高まる。更新・修繕が一時期に集中すると費用もかさむため、更新・修繕を計画的に進められるよう、同省は自治体への支援を強化することにした。
◇雨水貯留施設の民間設置促進◇
今回の法改正のもう一つの大きな柱が、大都市での雨水貯留施設の整備促進。気候変動で「ゲリラ豪雨」と呼ばれる局所的な集中豪雨が頻発する傾向があるからだ。郊外や地方都市などと違い、過密化した大都市では雨水貯留施設を整備できる公共空間は地上・地下とも限られる。そこで国交省は、オフィス街に集積する民間ビルの地下空間に着目。民間事業者がビルの新築や再開発、大規模改修などを行うタイミングに合わせてビルの地下に雨水貯留施設を設置してもらう方策を立案し、改正下水道法に盛り込んだ。
具体的には、まず自治体が条例でオフィス街を含む大都市の中心部を「浸水被害対策区域」に指定。同区域内で民間事業者がビルを整備する際、自治体と協定を結び、地下に下水道とつながる雨水貯留施設を設置する。協定に基づき、施設の管理は民間事業者に代わって自治体が行えるようになる。民間事業者にとっては管理コストの負担を軽減できるため、施設を設置しやすくなる。
国交省は、新制度適用の第1弾として横浜市の横浜駅西口地区の再開発区域を想定。ビルの地下に雨水貯留施設を設置する民間事業者向けに15年度に創設した建設費の補助や税制優遇措置も活用し、普及拡大を目指す。JS法の改正全般と下水道法の雨水貯留施設の設置を促す新制度は公布から2カ月以内、下水道法で新たに規定した維持修繕基準の整備は6カ月以内に施行される。このほか、改正水防法では、最大規模の降雨などを前提にした浸水想定区域の指定を市町村に義務付けた。交付から2カ月以内に施行される。
貯留した雨水をそのままトイレの流し水にすると、上下水道局が儲からないのはわかりますが、東京都、川崎市などは、雨水を捨てるためだけに住民一人当たり1万円が毎年一般会計からじゃあじゃあと流れ出ています。もう少し先を見て考えなくて大丈夫なのでしょうか。
返信削除米国では底影響開発(LID)と言うプロジェクトが降雨のために定着しています。
返信削除http://www.xeriscape-jp.org/pr/20150620_21.pdf
http://landarchs.com/how-uptown-normal-started-an-economic-boom/
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