出張先の大阪で万博記念公園に立つ「太陽の塔」を初めて見た。1970年に行われたアジア初の万博のテーマ館のシンボルとして建造され、当時生まれていない世代も含め、全国的に知られる大阪のランドマークの一つだ▼日本を代表する芸術家の故岡本太郎氏が制作したその塔は、万博終了後に取り壊される予定だったが、撤去反対の機運が盛り上がり、保存が決まった。ただ、芸術作品や地域のシンボルとしての価値が認められる一方、維持管理に伴うコストの増大など負の側面も▼もともと撤去が前提だったため、構造物としての耐久性や耐震性の問題が顕在化。維持管理を担う大阪府は耐震改修工事の発注手続きに入った。対策を急ぐという▼戦後の高度成長期を経てさまざまな構造物が造られ、市民は豊かさを手に入れた。その中には地域の発展を象徴するものもある。老朽ストックを更新する際、個々の価値をどう判断し、維持していくか。課題は多い▼2020年東京五輪の開催に向け、新設する施設には将来のランドマークもあるだろう。次世代に残す遺産として価値あるものづくりが求められる。
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