2015年9月14日月曜日

【情報提供に奔走】航空測量各社、豪雨災害の被災状況を写真や動画で発信

アジア航測が作成しYouTubeにアップした「鬼怒川破堤箇所」の3Dモデル動画


 9月9~11日に東日本の広い範囲を襲った豪雨災害。茨城県常総市と宮城県大崎市で河川の堤防が決壊し、大きな被害が発生した。被災地では、行方不明者の捜索や決壊した堤防の応急復旧、がれきの処理などが進むが、避難生活を余儀なくされている方も多い。
 
 このような状況下で、航空測量各社は空撮技術やGIS(地理情報システム)を駆使し、災害発生から間を置かずに被災地の鮮明な画像や、空撮写真を元にした3Dモデル動画を自社のホームページにアップ。二次災害の抑制などに役立ててもらうことを願っている。

 アジア航測は、9月12日午後に撮影した鬼怒川破堤箇所の空撮写真を元に、3種類の3Dモデルを作成し、9月13日に自社HPにアップした。高精度な3Dモデルは被災直後の地形が把握できる。HPには、動画以外にも航空機で自主撮影した斜め写真を掲載。「状況把握や防災対策の資料として活用し、被災地の早期復旧に役立ててほしい」としている。

 国際航業とパスコは、9月11日に航空機を共同で飛ばし、茨城県常総市や栃木県鹿沼市の水害・土砂災害現場を撮影。HPで情報を発信し続けている。

9月11日に撮影した茨城県常総市の破堤箇所
(提供:国際航業・パスコ)

栃木県鹿沼市の土砂崩れ現場
(撮影日9月11日、提供:国際航業・パスコ)
国際航業は、災害調査活動として、HPに 速報コンテンツを開設。9月に11日にレーダー衛星で撮影した茨城県常総市の画像を処理して、浸水範囲を推定するデータを公開している。これ以外にも鹿沼市や大崎市の空撮写真を順次アップしている。

国際航業がHPで公開している「浸水域推定図」
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 パスコは、9月11日から衛星でや飛行機で撮影した画像をHPで公開している。9月10日と11日に撮影した飛行機による斜め写真は、自社開発した「携帯型斜め写真撮影システム」を使用。撮影と同時にカメラ位置と被写体の中心位置、撮影方向が記録されるため、着陸直後にGISに展開でき、いち早い情報提供ができたという。

 航空測量各社は、これまでにも災害が起こるたびにいち早く被災地に飛んで空撮を行ったり、GISを使って被災状況を解析したりなど、さまざまな活動を行ってきた。「災害の状況を正確に把握することが防災・応急対策にとって重要。独自の判断で撮影している」(アジア航測)。災害に関連する情報収集・解析活動に携わることで、自社の技術者を育成し、防災コンサルティングに生かす一方で、「安全で安心できる暮らしを守ることが、航空測量会社や建設コンサルタントとしての社会的な責務」(国際航業)だとしている。

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