2015年9月9日水曜日

【回転窓】映画に見る台湾の野球と灌漑

 野球の18歳以下(U18)ワールドカップ決勝戦が先日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われた。日本は惜しくも優勝を逃したが、いつの時代も、高校球児たちのプレーは見ていて気持ちがいい▼かつて日本統治時代の台湾から憧れの“甲子園”に出場し、見事に準優勝した学校がある。昨年、台湾で大ヒットし、日本では今年公開された映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』でその嘉義農林学校の活躍ぶりを詳しく知った方もおられよう▼実話に基づくこの映画で感動を覚えるのは、球児たちのひたむきさだけではない。台湾の嘉南平原に大規模な灌漑かんがい施設を完成させた日本の土木技師・八田與一も登場。農民や住民にどれだけ喜ばれた偉業であったかがよく分かる▼映画の公開を記念し、台湾南部の嘉義市などを訪れる観光ツアーもある。市内で映画にゆかりの場所や、灌漑施設の中核である烏山頭ダムも見学できるという▼殉職した八田の後を追うように、妻・外代樹が烏山頭ダムに身を投げたのは70年前の1945年9月。一昨年には台南市の八田與一記念公園に外代樹の銅像が建立されている。


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