2015年9月29日火曜日

【記者手帖】旅館でもおもてなしを


 先日、休暇を利用して福島県を訪ねた。歌人の斎藤茂吉が愛したといわれる福島市の高湯温泉や会津若松近くの東山温泉に投宿し、良質な湯と地酒、地の食材をふんだんに使った料理の数々を堪能。「福島のおもてなしは満腹になって満足してもらうこと」と話す旅館の方の笑顔にも癒された◆「おもてなし」をアピールして勝ち取った2020年東京五輪の開催決定を機に、訪日外国人が増加している。そのため、今後観光客が集中するとみられる首都圏や関西圏では宿泊施設の不足が見込まれ、新規投資が必要になる一方、それ以外の地域では供給過剰が起こるとの指摘もある◆特に地方に多い旅館は、多言語に未対応であったり、海外の旅行業者への売り込みが不足していたりするため、外国人観光客の利用が少ない傾向にあるという。海外から日本に行きたくても、泊まる場所がない-。そんなことになれば、せっかくのインバウンド効果の足を引っ張りかねない◆新規投資も重要だが、外国の方に日本のおもてなしを味わってもらうためにも、旅館や地方に観光客を誘導する方策を考える必要があるだろう。

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