2015年9月16日水曜日

【苦節25年】西富久地区再開発(東京都新宿区)が完成

「富久クロス」は住機能を中心に超高層棟と中低層棟で構成
◇住民主導のまちづくり結実◇

 東京都新宿区の西富久地区で建設が進められていた再開発ビル「富久クロス」が完成した。特定業務代行者として施工を担当した戸田建設・五洋建設JVが、事業主体の西富久地区市街地再開発組合に同ビルを18日付で引き渡す予定。総合コーディネーターはまちづくり研究所、コンサルタントは都市設計連合、実施設計・監理を久米設計(設計協力・戸田建設)が担当。参加組合員として野村不動産、三井不動産レジデンシャル、積水ハウス、阪急不動産が事業に参画している。

 同地区では、地価が急騰したバブル期に地上げなどで無秩序な土地売買が行われた。虫食い状態になっていた街並みを住民主導で再生しようと地元住民らによる勉強会が1990年に発足し、街づくりの検討が本格化した。25年の歳月を経て地域のコミュニティー再生を核とした再開発ビルが竣工を迎えることになる。

 再開発ビルの規模はRC一部S造地下2階地上55階塔屋2階建て延べ13万8962平方メートル。高さ約191メートルの超高層の分譲タワー棟(コンフォートタワー)には1084戸の住宅を設け、ラウンジやブックカフェ、キッズルーム、フィットネス・リラクゼーションルーム、防音ルームなど、居住者向けのアメニティー機能が入る。

一戸建て風のペントハウスが立ち並ぶ低層部
 中低層棟(7階建て、138戸)は中層の賃貸住宅(グリーンレジデンス)のほか、一戸建て風のペントハウス(ペントテラス)で構成。2階レベルに人工地盤を設け、その上にペントテラスの街並みが広がる。施設内には大型スーパーなどの店舗のほか、認定こども園やクリニックなども併設する。

 地震災害時に居住者の生活継続計画(LCP)を支援する世界初の防災システムを導入。「災害に負けないレジリエントな街づくり」をコンセプトに、センサー類など最新のモニタリング技術を積極活用し、ライフラインやエレベーターなど建物設備の管理機能を強化。設備機能を迅速に復旧させる。住民にも被災状況や経年劣化で生じた異常など建物設備の診断情報を配信し、安全・安心な居住環境を提供する。

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