2015年9月4日金曜日

【女性のための女性による…】中部整備局愛知国道が産・官・学生の女性技術者座談会開く

 ◇企業の支援・周囲の理解不可欠◇

 中部地方整備局愛知国道事務所は2日、産・官・学生の女性技術者9人による座談会を名古屋市千種区の同事務所内で開催した。現場の第一線で活躍する女性と建設業界を目指す女子学生が一堂に会し、建設業の魅力や女性が働きやすい職場環境のあり方などについて率直に意見を交換。女性が結婚後も仕事を続けるには企業の支援体制整備や周囲の理解が不可欠であり、次世代を担う女性技術者の入職を促進するためにも、声を上げ改善を訴えていくことが重要だとした。

現状を変えていく。女性技術者の活躍の場を広げるためのアイデアは
建設業の担い手確保の取り組みの一環で、女性の入職促進を目的に開いた。参加者は愛知国道事務所の職員3人、コンサルタント2人、ゼネコン2人。学生は大学生1人、工業高等専門学校生2人。大学生はコンサル会社、高専生は愛知国道事務所でインターンシップ(就業体験)中の学生が参加した。 建設業を選んだ理由は「ものづくりが好き」「子どものころから土砂災害が身近だったため土木に興味を持った」「大規模なものが造りたかった」などさまざま。仕事の魅力、やりがいは「携わったものが形になり、完成後もずっと使われているのを見るとうれしい」「道路ができて便利になった、などの声を聞くと仕事をやって良かったと思う」など、ものづくりに携わる喜びを上げる意見が多かった。

 女性が働きやすい職場環境について、愛知国道事務所の職員は「育児休暇制度や時短勤務など子育てのための制度を活用した。残業なども多いが、夫の両親も協力的で環境面で恵まれていた」と経験を紹介。一方、コンサル会社で設計に携わる女性技術者は「残業も多く土日出勤もあり、スケジュールを決めづらい。子どもができると辞めざるを得ず、育児から手が離れ復職したくても現状ではとても無理」と業界の環境整備の遅れを指摘。ただ「業務内容からみても、コンサル業界は女性が進出しやすいと思う。徐々に改善されているが、業務分担など周囲のサポート体制を構築し子どもがいても働ける環境づくりが必要」と訴えた。

意見交換では、女性技術者の本音が交わされた
愛知国道事務所の所靖子さんは、女性技術者として国土交通省初のトンネル工事現場監督を経験。退職後は工務課に籍を置き、指導員として後輩の指導に当たっている。所さんは「昔は女性監督をよく思わない作業員もいた。また、労働基準法で女性作業員は公務員以外はトンネル内の作業ができなかった」と述べ「受け入れ側の気持ち、法制度、体力面の不安の三つの壁を感じた」と当時を振り返った。また「現在は労基法が改正され民間の女性作業員もトンネル内作業が可能になった。これは技術が進展しトンネル等の現場の安全性が確保されたことの表れ」と説明。若い女性技術者の活躍に期待を寄せた。

 司会を務めた愛知国道事務所の岩田美穂さんは「女性目線のアイデアなど、子育てを経験したからこそ気づく部分もある。声を上げていけば改善も進むはず」と述べ、建設業で働く女性が一体となって訴えていくことが大切だとした。所さんは「重要なインフラ整備に携わる技術者として、広い視点で胸を張って、めげないで頑張ってほしい」と、次世代を担うけんせつ小町にメッセージを送った。座談会後、愛知県飛島村の名古屋環状2号線(国道302号)の現場見学を行った。

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