2015年9月30日水曜日

【回転窓】山の再生に必要なのは

 一時は2割を切るまでに下がっていた日本の木材自給率が、上昇傾向にあるそうだ。林野庁の集計では2014年の自給率は27年ぶりに3割台を回復したようだという▼1950年代の90%台には遠く及ばないが、最低だった2000年の18・15%に比べれば大幅な上昇。世界有数の森林大国としてはまだまだ不満の残る数字だが、まずは朗報といってよいだろう▼ただし、木材自給率は国内の木材供給量に占める国産材の割合。全体量や輸入量によって数字は大きく変わるので、ぬか喜びは禁物だ。近年の自給率上昇は、中国などの輸入急増に伴う国際価格の上昇や円安で、国産材の需要が相対的に高まっただけとの指摘もある▼確かに国内の木材供給量全体は縮小傾向で、国産材の供給量は横ばいが続く。大事なのは率より量。もっと国産材を使う量を増やさなければ日本の山の再生は難しい▼建設業界では最近、大型木造建築や国産材の型枠、木質バイオマス発電などのニュースが目立つ。これらを息の長い取り組みにできるかどうか。もう一つは適正価格。せっかくの国産材を買いたたくようでは将来はない。


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