2015年9月18日金曜日

【気付かないかもしれないけど、スッゴイぞ】話題の技術/TOTOのウォシュレット洗浄水「バルーンジェット技術」

バルーンジェット技術を使った吐水イメージ
TOTOが温水洗浄便座「ウォシュレット」に導入している「バルーンジェット技術」。少ない水量でも高い洗浄効果を発揮し、多量の水で洗っているような使い心地にさせるのが特色だ。日本流体力学会(福西祐会長)の14年度学会賞(技術賞)を受賞。今やウォシュレットになくてはならない節水技術になっている。

 バルーンジェット技術が使われているのは、ウォシュレットで水を噴射するノズル。ノズル先端に小部屋を設け、ここを水で満たした状態と空気で満たした状態を交互に作り出すことで吐水速度を調整できるようにした。

 これによって、ノズルから先に出る遅い水に、後から出る速い水が追い付き、空中でぶつかることで水玉ができる。皮膚に当たる瞬間に大きな水玉となり、高い洗浄力を発揮。同時に、実際は少量の水でも多量の水で洗っているような感覚を与える。
吐水技術の概要図
この技術を開発するまで主流だったのは、限られた水量で十分な洗浄力と洗浄感を確保する「ワンダーウェーブ洗浄」(99年開発)と呼ばれる技術。水流を周期的に加速する脈動ポンプを使うことで、1秒間に70発以上の水玉を連射する。しかし脈動ポンプは高コストで、高級シリーズを中心に搭載するにとどまっていた。

 バルーンジェット技術は、脈動ポンプのような機械的な部品を必要としないため、コストを削減しながらワンダーウエーブ洗浄に近い性能を発揮する。同社の試算では、ワンダーウエーブ洗浄が使われる以前のウォシュレットと比較して、1回当たりの使用水量を40%程度に抑えることができ、年間消費電力量に換算すると約65%の削減になるという。

 バルーンジェット技術の開発を主導した商品研究部流体・機構研究グループの橋本博氏は「ワンダーウェーブのような洗浄力と洗浄感を保ちつつ、低コストで一般家庭などにも普及できるような製品を目指した」と開発のきっかけを説明する。

 小部屋を空気と水で満たして速度調整を行う仕組みはすぐに思いついたが、「細かい理屈や原理の検証に苦労した」と振り返る。「実際に商品化するに当たっては、万が一のことがあってはいけないので、小部屋の形状の工夫や、長期間の使用でも耐え得る性能の確保には特に力を入れた」。

 現在、バルーンジェット技術は、ボリュームゾーンのほぼすべてのウォシュレットに採用されている。

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