政府は、2025年までに数千~数万人の観客を収容できる大型のスタジアムやアリーナを全国に20カ所整備する方針を決めた。安倍晋三首相が24日開かれた未来投資会議で表明した。
会議の席上、首相は「民間の投資や知恵を呼び込み、(施設の)魅力を高める。地元企業や地方自治体を巻き込んだ取り組みを後押しする」と強調。スタジアムやアリーナを「スポーツ観戦だけでなく、市民スポーツ大会やコンサート、物産展などを開催し、多様な世代が集う地域の交流拠点に生まれ変わらせる」と述べた上で、「法律や予算、税制を総動員し2025年までに(地域拠点としてのスタジアム・アリーナを)20カ所整備する」との目標を明らかにした。
同日決定した政府の第2期スポーツ基本計画(17~21年度)では、スポーツ産業の市場規模を20年までに直近(12年)の5・5兆円から10兆円、25年までに15兆円へと拡大させる目標を設定。具体策の一つとして、地域活性化の基盤としてのスタジアム・アリーナづくりを位置付けている。
□アリーナ整備を地域活性化の起爆剤に□
同日の未来投資会議では、スタジアム・アリーナ関連の提案としてジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の大河正明チェアマンと、佐原光一豊橋市長がプレゼンテーションを行った。
全国で計画されているスタジアム・アリーナ整備 (未来投資会議・大河チェアマン提出資料より) |
大河チェアマンは「アリーナを核としたBリーグの取り組み」として、①交流人口の増大による地域活性化②日常的に人々が集まる(施設の)多機能化・複合化③地域戦略の起爆剤となる夢のアリーナ-の3項目を戦略目標に設定している現状を説明。その上で、「全国で〝夢のアリーナ〟実現を目指した動きが広がる中で、地域開発の核となるアリーナ建設をリーグも推進する」考えを示した。
一方、佐原市長は市が検討している新アリーナ構想を説明した。人口減少や高齢化が進む上、「市内外の人を呼び込む施設かない」という現状を踏まえ、地域経済の起爆剤として「2020年代初めの建設を目指し(アリーナ構想の)具体化に向け検討している」とした。
総合エンターテインメント型のアリーナを豊橋公園内に整備。Bリーグやコンサートなどを観て楽しむ空間にしたい考え。整備や運営には民間のノウハウを積極的に活用して収益性を確保する方針で、空港などの運営に採用が始まっているコンセッション方式の導入も検討する。建設候補地の豊橋公園は美術博物館や陸上競技場などの既存インフラが存在し、豊橋駅から中心市街地を通って容易にアクセスできる。
豊橋市の新アリーナ整備構想イメージ (未来投資会議・佐原市長提出資料より) |
まちなか立地で施設整備の相乗効果が期待でき、メインアリーナでBリーグ・三遠ネオフェニックスをはじめとするプロスポーツの試合、コンサート、コンベンションといった比較的大規模なイベントを開き、サブアリーナで地域のスポーツ大会や市民活動を開くことで、「世代を超えた交流が可能になる」としている。
構想実現に向け、佐原市長は政府に対し①アリーナを核としたまちの活性化に対する支援の充実②民間投資に対する税制や資金調達の支援③都市公園内での民間事業者による柔軟な施設運営を可能にする制度整備-を求めている。
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