「男は1回勝負する」。1968年の自民党総裁選に出馬表明した三木武夫(後に首相)の言葉だ。この時に敗れた三木は70年の総裁選にも「男は何度でも勝負する」と出馬した▼三木の演説のうまさには定評があったが、この時に派閥の議員を前に行った演説も語り草の一つ。会場を見回した三木は「われわれは国会の中で少数派だ。戦えば負けるだろう。しかし、国会の外では決して少数派ではない。われわれが恐れるのは大衆の声のみだ」と呼び掛けた▼東日本大震災が起きる2カ月前の11年1月17日付本紙小欄に「民主党の内輪もめで通常国会の召集は遅れ、11年度予算の成立もいつになるやら…中略…閣僚の首をすげ替えただけで国民の信頼が回復するのか」とあった▼民主党政権の混乱ぶりを見て自民党が国民の信を問えと衆院解散を迫っていた。政治に求められるのは国民の声に寄り添う姿勢だろう。政策より政局が大事というのは、国民にとっては不幸である▼当時、「政局より政策を」と政治を一枚岩にしたのは震災。誰もが被災者のために奔走した。あすで震災から丸6年。政治の原点も見つめ直したい。
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