日本建設業連合会(日建連)の会員企業が、建設業で働く女性の活躍を促す取り組みに一段と力を入れている。
22日に表彰式が開かれた「16年度日建連けんせつ小町活躍推進表彰」の受賞会社を見ると、現場に配置する技術者全員を女性にするなど対応の幅が広がっている。育児をしながら海外の現場で所長として活躍する職員もおり、働き方の新しいロールモデルとして注目を集めている。
最優秀賞に選ばれた長谷工コーポレーションの現場は、工事に従事する技術者を全員女性にした。職長会の会長も男性の職長の意向で協力会社の女性が務める。
賞状を受け取った早坂淳子同社建設部門総合所長は、最もうれしいエピソードに「男性の職長が女性の会長を盛り立てようと意見してくれたこと」を挙げた。現場では女性の活躍に向けたハード・ソフト両面の課題の抽出と改善が進んだ。職長会の運営に女性の繊細さが加わり、女性技能者の自信になったという。
岩田地崎建設は、入社以来、広報を担当している女性土木技術者が情報発信や講演などを積極的に行ってきた結果、就職活動中の学生から話を聞きたいという問い合わせが増えている。
鹿島は土木工事の現場で妊娠期と育児期それぞれに合わせた勤務体制を職員に選択してもらったり、担当に正・副を設け、フォローし合う体制を構築したりしている。配偶者の出産後に2週間の育児休暇を取得した男性社員もいる。
大成建設は北海道のある建築工事現場で、建設業未経験の地元出身の女性を所員として採用した。17年は倍の6人の採用を目指す。同社管理本部人事部では「人材いきいき推進室」が管理職・男性社員・パートナーと女性社員それぞれを対象にしたセミナーなどに意欲的に取り組んでいる。
海外で女性の現場所長に活躍してもらってきたのは大林組。海外でも育児と現場勤務を両立させ、女性技術者の可能性を広げた。
清水建設の技術研究所では、同社初の部長職に就いた女性研究員が家庭と研究活動を両立させつつ、後進の女性研究員の指導、支援に力を入れている。五洋建設は作業船の船室から見えない場所に鍵付きの女性専用トイレを設置し、船着き場や海上の護岸にも専用トイレを設けた。
三井住友建設は、職員が地域の自治体と協力して地元ラジオの番組に出演し、建設業で働く女性をPRした。
女性の活躍を促す取り組みを進めている日建連のけんせつ小町委員会は、各社の対応について「女性の活躍が建設業の将来に不可欠という信念でなされている」(則久芳行委員長)と見て、活動を応援する考え。表彰は17年度も行い、優れた取り組みの情報を広く発信する方針だ。
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