2017年3月15日水曜日

【回転窓】急増続く書店の倒産

昨年は企業の倒産件数が8年連続で前年を下回り、1990年以来の低水準だった。90年といえばあのバブル景気の頃である。そんな中で、倒産や廃業の急増が続いている業種がある。それは書店▼東京商工リサーチが集計したところ、昨年の書店の倒産は前年の1・5倍以上の25件、休廃業・解散も1・6倍の41件に上ったという。かつてはどこの街にもあった中小の書店が消えていく。そうした実感を裏付けるデータといえる▼書店や取次業者も含めた出版業界は構造不況業種といわれて久しい。原因を「活字離れ」に求める見方もあるが、そう単純なものではなさそうだ。都心の大型書店や郊外の新古書店は結構なにぎわいだし、本のネット通販は活況。新聞には新刊書の広告があふれている▼SNSの普及ぶりを見ても、活字離れを言うのは無理がある。どんな業種でも同じだが、苦境の原因は詰まるところ、消費者ニーズとのミスマッチにあるだろう▼書店の多寡は地域の文化程度を示すとも言われる。しゃれた新しい街でも本屋のない街はどこか物足りない。勝手なお願いながら、生き残り策を模索してもらいたい。

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