2017年3月10日金曜日

【東日本大震災から6年】住まいの復興など着実に進展

陸前高田市で行われた復興祈念公園起工式の様子
 ◇インフラが福島再生の力に◇

 本年度から復興・創生期間に入った東日本大震災の被災地。この1年間にも、地域の再生に向けた取り組みが各地で進んだ。

 大津波で甚大な被害を受けた宮城県東松島市では、昨年11月にすべての宅地が完成し、災害公営住宅の整備が進む。宮城県南三陸町では、かさ上げを行って整備した新市街地に「南三陸さんさん商店街」が今月3日にオープンし、新たなスタートを切った。

 岩手県陸前高田市では、同県内で最大規模となる二重構造の防潮堤がほぼ完成。5日には高田松原地区で津波復興祈念公園の起工式が開かれた。大津波に耐えた「奇跡の一本松」などの震災遺構とともに、自然災害の恐ろしさを伝える施設となる。
全校児童・生徒が出席した大槌学園小中一貫校の落成式
 岩手県大槌町では、「大槌学園小中一貫教育校」が昨年11月に完成し、未来を担う子どもたちも落成式に出席した。岩手県釜石市は、19年のラグビー・ワールドカップ日本大会の会場となる「釜石鵜住居復興スタジアム(仮称)」の施工者を決め、来年度に着工する予定だ。地域を盛り上げるようなイベントの準備も進むことになる。
釜石鵜住居復興スタジアムの完成イメージ
 地域の再活性化や経済再生に欠かせないインフラ整備も着実に進んでいる。復興道路では、昨年10月に三陸沿岸道路の三滝堂IC(インターチェンジ)~志津川IC間が開通。今月20日には、その先の志津川IC~南三陸海岸IC間がつながる。昨年10月には、三陸沿岸道路で最長となる延長3330メートルの新鍬台トンネルが無事に貫通。各地で交通ネットワークの拡充が図られている。
新鍬台トンネルの貫通式
 福島県内では、県北を東西に横断する相馬福島道路のうち阿武隈東道路が今月26日に開通する。相馬福島道路では初めての開通となる。JR常磐線は、昨年12月に相馬~浜吉田間が運行を再開。宮城県山元町では内陸側に駅が移設され、コンパクトな新市街地が形成された。常磐線の残りの不通区間も段階的に復旧事業が進められる。こうした基盤は、福島第1原発事故を乗り越えて地域を再生していく上で大きな力になると期待されている。

 都市再生機構による復興まちづくりの支援も広がっている。昨年9月には双葉町、同11月には浪江町とそれぞれ覚書を交わした。
福島県内での除染作業の様子
 帰還困難区域を除いた「除染特別地域」(国施行)と「汚染状況重点調査地域」(市町村施行)の除染作業は今月末でおおむね完了する予定で、モニタリングやフォローアップ除染といった段階へと移る。汚染土などの中間貯蔵施設の本体工事も昨年11月に始まった。今秋ごろからの貯蔵を目指し、施設の整備が進められる。

 政府は、福島復興再生特措法改正案を今国会に提出。帰還困難地域でも、関係自治体と連携し、職住機能を集約した「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」を形成していく。福島県の内堀雅雄知事は「来年度には重要な局面が数多く控えている」として、復興・再生のさらなる加速へと力を注ぐ方針だ。

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