2017年3月28日火曜日

【記者手帖】若い人の育て方

最近、いくつかの企業の人材採用・育成担当者に取材する機会があった。近ごろの若者の特徴を聞くと、「真面目でおとなしい」と口をそろえる。仕事に対する悩みや不平不満を表すわけでもなく、きのうまで黙々と仕事をしていたのに翌日から急に来なくなるということもあるそうだ◆そうしたことを背景に、新入社員研修の期間を延ばすなど若手の教育を充実させる企業が増えている。内容もより丁寧なものへと見直す企業が多いようで、これが定着率の向上につながっているとの見方もある◆駆け出しの頃、「仕事は背中を見て覚えろ」が当たり前だったわが世代からすると、手取り足取りの新人教育には違和感がないでもない。ある程度の放任は、新人であっても一人の大人として扱うことの表れでもあったと思うが、時代の変化とはそういうものかと話を聞きながら感じた◆そんな中、2人の子の小・中学校の卒業式に出席した。保護者控え室にあった子どもからの感謝の手紙の宛名はどちらも「お母さん」だった。人を育てるのは難しい。「背中を見ろ」はやはり考え直さねばならないかもしれない。(ほ)

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