2017年3月13日月曜日

【回転窓】東日本大震災から7年目

〈休憩所の日向に手袋干しならべ除染の人らしばし昼寝す〉。福島市在住の菊地イネさんが詠んだ歌で、16年1月14日に皇居で催された「歌会始の儀」で入選した▼題は「人」。東日本大震災の原発事故による放射性物質の除染に取り組む作業員を詠んだ。被災者と向き合いながら、汚染土壌などを除去・運搬する地道な仕事に汗を流す作業員が体を休めている姿を見て歌が浮かんだと聞いた▼来月に大部分の避難指示が解除される福島県富岡町で7年ぶりに「桜まつり」が開かれることが決まった。メイン会場だった「夜(よ)の森公園」が原発に近い帰還困難区域に当たるため、除染が完了した約1キロ離れた中学校で同8日に行われる。原発事故前は約400本のソメイヨシノを見ようと10万人以上の人でにぎわっていた▼帰還困難区域を除く避難指示区域の面的除染は、政府が17年3月末と設定した目標期限までにおおむね完了する見通しとなった。復興は目に見える形で着実に進んでいる▼震災から7年目。避難指示の解除が増えるにつれ、つらく悲しい記憶は残りながらも、温かい新しい思い出が重なっていくことを願いたい。

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