2018年1月31日水曜日

【回転窓】国家資格の受験機会拡充

当の本人は誇らしくもあり、少し照れくさくもあるかもしれない。工業系高校の校舎を囲むフェンスに掲示されている二つの横断幕を見て、そんな生徒たちの顔が目に浮かんできた▼横断幕に書かれていたのは、電気工事コンテスト関東大会に出場した生徒と、電気主任技術者の資格試験に合格した生徒の名前。後者の幕には「難関 国家資格合格」とある。生徒の頑張りをたたえつつ、合格者をもっと出そうという学校側の熱の入れようが伝わってくるようだ▼身近な地域にある学校とはいえ、そこで学ぶ生徒が挑んだ大会や資格試験などの結果を知る機会はほとんどない。ホームページを見れば入手できる情報もあるが、横断幕や垂れ幕は学校と地域をつなぐ貴重な掲示板の役割を果たしているとも言えよう▼建設業法に基づく施工管理技術検定は、来年度から建築と土木に続きすべての種目で2級学科試験が年2回に増える。この見直しで期待されるのが高校生の受験・合格者増である▼資格取得はこれからのキャリア形成を大きく後押ししてくれる。担い手を確保・育成していくため...

【有楽町に新ランドマーク】東京ミッドタウン日比谷、2月1日竣工

明日竣工する東京ミッドタウン日比谷グランドオープンは3月29日を予定している 三井不動産が東京・有楽町の三信ビルディングと日比谷三井ビルディングの跡地で建設していた延べ約19万m2規模の複合施設「東京ミッドタウン日比谷」が2月1日に竣工する。  東京圏で初めて国家戦略特区街区の区域認定を受けた案件。マスターデザインアーキテクトはホプキンスアーキテクツ、都市計画・基本設計・デザイン監修は日建設計、実施設計・監理・施工は鹿島が担当した。3月29日にグランドオープンする。  所在地は千代田区有楽町1の1の2(敷地面積1万0702m2)。建物はS・SRC・RC(CFT)造地下4階地上35階建て延べ18万9245m2の規模。オフィスや商業施設、シネマコンプレックスなどで構成する。  竣工に先駆け、30日に三井不動産の菰田正信社長が現地で記者会見し、「東京ミッドタウン日比谷が東京の活性化の核となる」と期待を述べた。 「パークビューガーデン」㊤と「BASE Q」内部...

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/建設省が17年を総括

 建設省は16日、ハノイ市で17年の総括と18年の事業計画の発表を行った。会議にはグエン・スアン・フック首相が出席した。  レ・クアン・フン副大臣は冒頭、17年を総括して「社会情勢とマクロ経済の安定、インフレの抑制により建設産業は好調だった」と評価。政府の投資促進や事業環境改善に向けた政策が有効に実施され、建設業の成長につながったとした。  18年は、建設省の各部署がイニシアチブをとって計画の実行、関連法令の整備を進める。建設プロジェクトの管理、都市開発・住宅建設の計画・法令に沿った実行、不動産・建材市場の管理、国営企業の株式化推進などに取り組むと報告された。  17年時点の全国の都市化率は前年から0.9ポイント上昇して37.5%で、16年の第12回共産党大会で示された国家目標をほぼ達成した。都市マスタープランの策定率は100%で、ゾーニング計画は77%(前年比2ポイント増)、詳細計画は38%(3ポイント増)となった。  都市部の水道普及率は1ポイント増の84.5%で、廃棄物処理...

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/死亡事故毎年20%以上減へ

韓国政府は、大手建設会社100社に今年から死亡事故を年間20%ずつ減らすことを義務付けた。労働災害死亡事故減少対策を「国民生命守り3大プロジェクト」の一つに位置付けて推進する。  16年の韓国における労働災害事故死者数は969人。政府は、これを22年までに500人以下まで減らす目標を掲げ、対策を推進する。特に建設、造船、化学、金属・機械製造の業種を対象に、集中的な安全管理を強化する。  建設大手100社には、死亡事故を毎年20%以上減らす「目標管理制」の導入を推進。死亡事故を繰り返す場合は、全国現場単位で安全監督を実施する。  発注者と元請業者の安全管理義務や役割を強いる一方、現場労働者の責任も強化。公共工事の現場でヘルメットや安全帯を着用しないなど、安全規則を2回違反すると、即時退去措置を講じる。事故が多発する移動式クレーンなどの建設機械設備の管理も強化し、後方確認装置など安全装置の設置を義務付ける。 (CNEWS、1月24...

【回転窓】見果てぬ宇宙への夢

空気の澄み渡ったこの時期、晴れた夜に空を見上げると、きれいに瞬く星々が見られる。光があふれる都心ではなかなか難しいが、少し郊外に出れば美しい夜空を十分楽しむことができる▼東京大学らが10年以上前から推進してきた天体観測プロジェクトで先週、口径6・5メートル、高さ15メートルという巨大な「光赤外線望遠鏡(TAO望遠鏡)」が完成した▼重さ約200トンに達する望遠鏡は、銀河が誕生する時に放たれる光を観測可能な性能があり、宇宙誕生の様子が観察できると期待されている。兵庫県播磨町で仮組みされた望遠鏡はこの後、南米チリに運ばれて、北部にあるチャナントール山山頂の観測所に設置される▼標高5000メートルを超える同山頂は、宇宙からの赤外線を吸収する水蒸気がほとんどないことから天体観測に適した環境といえるが、その分、生きものにとっては過酷な環境であり、作業には酸素ボンベが常時必要という。山頂まで資材を運び上げ、望遠鏡を組み立てるのだろうが、事故なく無事の完成を願いたい▼飽くなき探求心が新たな発見を...

【見学の思い出にかきかき】三重県四日市市、中央緑地フットボール場で子ども見学会

 三重県四日市市は、今夏の全国高校総体、21年の三重国体に向け整備を進めている「四日市市中央緑地フットボール場」(日永東)で29日、現場見学会を開いた。  市立日永小学校3年生の児童約70人が参加、現場を体験し、建設業を身近に感じていた。施工はフジタ・アイトム建設・杉本組JVが担当している。  冒頭、高野卓哉四日市市教育委員会国体推進課長が「サッカー場がどうつくられるのか知ってもらい、夢を描く手伝いをしたい」とあいさつ。冨元貴志JV所長(フジタ)は「ものづくりに興味を持つきっかけになれば」と話した。  児童たちは、工事の内容を聞いた後、バックホウの操作や測量を体験。施工前の人工芝の下に記念のメッセージを書き入れたり、既に張られている人工芝でボールを蹴ってミニゲームを楽しんだりした。  児童の一人は「学校に帰って、楽しかったことをみんなにも伝えたい」と話していた。  同フットボール場は、昨年3月から整備されているJFA(日本サッカー協会)公認人工芝3面のサッカー場。Aフィールド...

【坂倉建築を保存・再生】鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)に新ミュージアム

 ◇県立近代美術館鎌倉館をリニューアル◇  鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)は、境内にあり16年3月末に閉館した旧神奈川県立近代美術館鎌倉館を再生し、19年春をめどに「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」としてオープンする。  現在、耐震工事などに入っている。文華館では展示や文化イベントのほか、資料や作品の収集・保存、調査研究などを行う予定。県重要文化財に指定されている旧鎌倉館の建築価値を保存しながら、新たな文化活動の拠点づくりを目指す。  所在地は鎌倉市雪ノ下2の1の31(鶴岡八幡宮境内)。旧鎌倉館は1951年、日本初の公立近代美術館として開館。建物は日本の近代建築を代表する建築家・坂倉準三の作品として知られている。敷地面積は4243平方メートル。建物はS造2階建て延べ1575平方メートル(本館棟)の規模で、施工は馬淵建設(横浜市南区)が担当した。  同館は、立地する鶴岡八幡宮の境内が国の史跡に指定されていることもあり、改修工事などを行って美術館として継続利用することが困難な状況だ...

【北・東側ゲートには震災被災地産材使用】新国立競技場、3月末から木製部分の施工開始

 日本スポーツ振興センター(JSC)は、2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場(新宿区ほか)の建設で、47都道府県から調達した国産木材を使用する。  調達した木材の加工・防腐処理を順次行っている段階で、3月末から木製部分の施工に入る。  全国から計145立方メートルの木材(認証材)を集め、スタジアム周囲の軒・ひさしなどに活用する。エントランスゲートのうち、北・東側ゲートには11年の東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県、南側ゲートには16年に熊本地震があった熊本県の木材を用い...

2018年1月29日月曜日

【回転窓】つながりを保つ「またね」

「きょう一日、ありがとうございました!」。少年サッカーの大会で、1試合終えた子どもたちが相手チームのコーチや関係者に大きな声であいさつをしていた▼このあいさつ、普段は練習や大会を終えた時に保護者に向かって行っているものという。「あいさつはとても大切」というコーチの教えを忠実に実践し、まだ試合が残っているのにいつものあいさつをする子どもたちのほほえましい光景に、保護者たちも大いに和んだ▼建設関係団体が主催する新年賀詞交歓会や懇談会が各地で開かれている。「また一年よろしく」「インフルエンザ大丈夫?」。会合で顔を合わせた取材先の方々が、短くてもそうしてあいさつの声を掛けてくださると、記者としてもうれしいものである▼「またね」「またお会いしましょう」-。以前に取材で会った人から、別れ際のあいさつにそんな一言を添えるよう努めていると聞いた。さりげないが、再会を前提に人とのつながりを促すとても温かい言葉だと感じた▼転勤に人事異動と今年も間もなく別れの季節が来る。「またね」。あいさつの言葉に気...

【国際規格リンク、来年12月オープンへ】関空アイスアリーナ整備事業、MULプロパティら4社グループに

大阪府泉佐野市は「関空アイスアリーナ整備事業」の事業者を決める公募型プロポーザルで、MULプロパティ・安井建築設計事務所・淺沼組・日本土木建設グループを最優秀提案者として選定した。  関西国際空港に近接するりんくうタウンに国際規格のアイススケート場を、実施設計・施工・リース一括方式で整備・運営する。グループ構成企業は、リース・実施設計・工事監理・建設の各業務をそれぞれ担当する。  施設概要は2階建て延べ4800平方メートル程度でメインリンク(国際競技規格)とサブリンク(一般滑走用)を整備する。1階には会議室や事務室兼救護室、軽食・休憩スペース、トレーニングルームなど、2階には500席以上の観客席を設ける。リース施設の賃貸借期間は20年以上を予定する。  基本設計段階の概算工事費は15億9500万円(税抜き)。市は17年12月補正予算で、施設借り上げ料に28億3393万9000円の債務負担行為を設定している。  予定では2月に実施設計に着手し、9月に着工する。19年9月に工...

【凜】NIPPO新本社ビル建築工事作業所・中村瞳さん

 ◇社内初の女性現場所長に◇  幼い頃から内装工事業者として現場で汗を流す父の姿を見てきた。自然と建設に関心を持つようになり、大学は建築学科へ。「現場でものづくりに携わりたい」と建設会社への就職を希望した。  NIPPOを知ったのは、学生時代から力を入れていたテニスがきっかけ。会社選びの際、ホームページに大きく映し出された東京都江東区の有明テニスコートを見て興味が湧いた。  人事担当者の人柄も良く、「体育会系の自分には合っている」と感じ、入社を決意した。建築部門では初の女性技術者誕生だ。  最初に配属された都内の老人ホーム新築現場では、現場で飛び交う専門用語が分からず右往左往することも多かった。仕事が長時間に及ぶこともあったが「外で動き回るのはイメージしていた通り。職人さんも優しく、大変だと思ったことはない」と話す。  現在の職場は、東京都中央区で進む本社ビル建築工事作業所。プレキャスト(PCa)コンクリート造のビルの躯体工事を担当している。「外装や躯体工事の精度が仕上げに...

【建設業の心温まる物語】平賀工業(岡山県)・平賀久康さん

 ◇今は亡き父からの一番のプレゼント◇  私は高校を卒業して建築の専門学校に行き、大阪に本社があるゼネコンに就職しました。そこで現場監督を10年ほど経験しました。  私は四国で家族とともに暮らしていましたが、ある日、岡山に住む母から「お父さんが倒れたから戻ってきて家業である左官業を継いでくれ」と電話がありました。突然のことでとてもびっくりしました。  父は中学校を卒業後、左官の腕を磨き、その後会社を設立していたのです。私は悩んだ結果、実家に戻り父の家業を継ぐことを決意しました。しかし、左官の仕事は今まで行っていた現場監督とは畑違いの仕事です。私は、なんとなく現場監督の方が、格上という意識があり、左官という職種になかなか慣れませんでした。  その後、父は車いす生活になってしまいました。私は、これからどうすればよいのか、思い悩みながらも、忙しくて愚痴を言う暇もないまま、がむしゃらに左官の仕事を行っていました。  私が左官の仕事をし始めて10年ほどたったある日、父から「東京に行く...

【建設業の心温まる物語】小田鐵網(愛知県)・大島芳崇さん

 ◇不安な思いから救ってくれた若手社員の成長に感謝◇  のり面工事の現場で起工測量を行っていた時の話です。当時は元気な社員が多く、いけないことですが、のり肩まで命綱も安全帯も着けずにスパイク付きの長靴で登っていって測量をしていました。私もそのうちの一人でした。  しかし、年を重ねるごとに体が衰え、体形も変わり、体がきつくなってきていました。会社の中の地位が上になり、若手をひっぱっていかなければならない立場になってきたため、「怖い」「しんどい」とはいえません。そのうち、起工測量に出掛けることが、憂鬱(ゆううつ)に感じるようになりました。  そんなある日、若手社員の一人Aくんが、私の気持ちを察して次のように言いました。  「大島さん、無理せんでいいですよ。俺たちが上に登って測量テープをのり尻に垂らすからポイントに目盛りのゼロを当ててくれればいいです。のり長は俺たちで読むから野帳に展開図書いて寸法記入してください」  そう言うなり、Aくんは測量テープを持ってひょいひょいとのり面を...

【建設業の心温まる物語】亀田組(石川県)・亀田重樹さん

 ◇どんな会社か理解してもらえるチャンス◇  20年ほど前に、県道改良工事を施工したときのお話です。道路の両側にある開口水路をふたつきの水路にして道路幅を1メートル拡幅する工事でした。当時私は入社して2年目くらいで、工事の内容や施工方法を理解しておらず、先輩社員の指示に従うだけで精いっぱいの毎日でした。  工事をしている道路は地域の生活道路だったため、朝は小中高生や出勤する住民の通行で混雑していました。その上、車がぎりぎり2台通過できるかどうかの狭い県道でした。わたしが子供のころから歩行者が通行しにくい道路で、たまに水路に落ちてしまう人がいたほどです。  そんな状況のため、工事中は毎朝のように、近隣の方々から苦情を言われ、工事がなかなか進まず、工事が始まってから10年近くかかっていました。  私は近隣住民に迷惑をかけているのでせめて何か手伝いができないかと思い、朝の小学生の通学パトロール、ゴミ出しの手伝い、高齢の方の手伝いなどを長い間続けていました。その気持ちがようやく通じ、...

【サークル】先端建設技術センター teamACTEC

 ◇楽しく走るがモットー、練習会場は皇居外周◇  ランニングイベントに個人参加していた職員同士で16年5月に合同練習会を開いたのが、先端建設技術センター(佐藤直良理事長)のランニングクラブ「teamACTEC」が発足したきっかけ。以来、東京都千代田区の皇居外周(1周5km)で月1回、練習会を開いている。  フルマラソンやハーフマラソンなどに出場するメンバーも多いが、普段は走らない職員も参加するようになるなど、徐々にその数が増えていった。国土交通省やゼネコンなどからの出向者も多い組織の中で、約20人がこれまでに月例練習会で汗を流した経験を持つ。  活動のモットーは「楽しく走って、楽しく飲む」と話すのは、クラブ代表で自身もフルマラソンに挑戦している総務部主任主事の吉井久美子さん。目下の悩みは女性メンバーが少ないことだが、「いきなりランニングではハードルが上がるので、ウオーキングでの参加も大歓迎です」。  職員全員が楽しめるリレーラン&ウオーキングイベントを3月に開催しようと企画...

【駆け出しのころ】徳倉建設常務執行役員・岡田夏樹氏

 ◇いろいろな経験積み視野広げる◇  大学進学時に建築を選んだのは特別な理由があった訳ではありませんが、漠然と「ものづくり」には関心がありました。大学で意匠を学び、89年に入社。最初は何も分からず、右往左往する毎日でした。職人さんに質問されても即答できず、先輩社員や上司にその質問を伝え、答えをまた職人さんに伝えました。12階建てのマンションの建築現場では最上階から現場事務所にいる先輩に聞きに行くため、1日に何往復もしました。  こうした繰り返しの中で、現場で必要な知識を見て、聞いて、体で感じ、少しずつ覚えていきました。工事が終盤になり、足場が取れ、これまで造ってきた建物の容姿が見えた時の感動は今も忘れられません。完成後、家族を連れて現場に行き、この建物を建設したんだと言ってよく見せたものです。  建築技術者としての転機は、33歳の時に担当した長崎県対馬の小・中学校合同施設工事です。数年前から現場所長になっていたのですが、まったく知らない土地に単身で乗り込み、下請業者探しからする...

2018年1月26日金曜日

【回転窓】都会の「お互いさま」

「駒沢方面です。一緒に乗っていきませんか」。首都圏に大雪が降った22日の夜、東京の渋谷駅前でタクシーを待つ人に一人の中年男性が呼び掛けていた▼降雪で電車やバスなどの公共交通機関は大混乱。駅前のタクシー乗り場には帰宅を急ぐ人が長蛇の列をつくった。降りしきる雪の中でタクシーを待ちわびていた高齢の女性たちが男性の声に手を挙げて一緒に乗っていった▼タクシーは1台に3~4人が乗れる。緊急時には皆が同様の声掛けを行えば輸送力は3~4倍になる。困った時はお互いさま、袖振り合うも多生の縁である。多くの人が相身互いの精神を持てば、都会も今よりもっと暮らしやすくなろう▼見知らぬ者同士がタクシーを共同で利用する「相乗りタクシー」の実証実験を国土交通省が東京都内で始めた。利用者がスマートフォンの専用アプリを使って乗車地と目的地を設定すると、同じ方向へ行く客を選んでマッチングしてくれるという▼1人で乗るより運賃は割安。タクシーが使いやすくなり、輸送効率も向上すると国交省はみている。先進技術を駆使する都会の...

【最新技術導入の需要開拓活発に】メーカー各社、建設分野でしのぎ削る

 建設現場でICT(情報通信技術)やロボットを活用する動きが広がる中、機械やシステムが不具合を起こす前に検知し、最悪の事態を回避する「予兆保全」などの新ビジネスが脚光を浴び始めている。現場作業を補完するロボットスーツや高所点検を効率化するドローン(小型無人機)などは人間の作業負担が減る一方で、ひとたび不具合が生じれば生産活動が停止してしまうリスクもある。日進月歩で進化する技術を建設現場にどう活用していくのか。新規需要を探る動きは活発になっている。  17~19日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「ロボデックス-ロボット開発・活用展」。会場には人工知能(AI)やロボット、IoT(モノのインターネット)システムなどが所狭しと並べられ、担当者らが製品を熱心にアピールした。  生産現場で自動化、ロボット化の動きが拡大する中、機械に不具合が生じる前に予兆を見つけ出し、対策を促す「予兆保全」ビジネスに目を付ける企業が出始めている。 信和産業らが出展した「エッジノードディスカバリー...

【〝奥村くみ〟さんの活躍にこうご期待】奥村組がTVCM初制作、森川葵さんが建設LOVEな理系女子に

 実力派女優・森川葵さんが建設LOVEな新人理系女子に-。奥村組が初のテレビCMを制作した。CMは森川さん演じる「奥村くみ」が、物流センターやトンネルの建設現場などでのさまざまな出会いを通じ、大切な何かを見つけていくストーリー。全4話(各30秒)構成で、同社がメインスポンサーとして協賛する28日開催の「第37回大阪国際女子マラソン」番組内で放映される。CMや楽曲を提供した竹原ピストルさんの情報は同社ホームページのCMギャラリーまで。 森川さん演じる新人理系女子「奥村くみ」の活躍にこうご期待  奥村組の新入社員・奥村くみを演じる森川さんは、高校時代に工業科でインテリアを学んでいたため、ものづくりへの思いは人一倍。シンガー・ソングライターの竹原ピストルさんがCM用にオリジナル楽曲「いくぜ!いくか!いこうよ!」を提供した。  企業のコンセプトCM(30秒・60秒)も併せて制作した。1907年の創業以来、「堅実経営」と「誠実施工」を信条に、建設の仕事に真摯(しんし)に向き合っ...

【官民連携でプロジェクト実施へ】横浜マリノス、横浜市・神奈川県横須賀市でトレーニング施設整備

 横浜マリノス(横浜市港北区、古川宏一郎社長)と横浜市、神奈川県横須賀市の3者は25日、サッカーJリーグ・横浜F・マリノスが使用するトレーニング施設の整備プロジェクトを実施すると発表した。   新横浜公園(横浜市港北区)のトレーニング施設を拡充するとともに、JR久里浜駅周辺(横須賀市)でもグラウンドやクラブハウスなどの建設を検討する。  新横浜公園では、第一運動公園広場の施設拡充についてマリノスと横浜市が協議を開始し、早期実現を目指す。費用はマリノスが負担する。第一運動広場は約1万5000平方メートルの広さで、使用可能種目はサッカー、ラグビー。マリノスの提案によるとグラウンドを2面化しトレーニング機能を拡充するとともに、市民がスポーツに親しむ機会を増やす。  横須賀市は、JR久里浜駅西側のくりはまみんなの公園(久里浜1の381の4)を整備地に想定している。敷地面積は2万2628平方メートル。グラウンドはフルピッチ2面とハーフピッチ1面を想定。1000人程度収容のス...

2018年1月25日木曜日

【回転窓】情報を発信する者の責任

小説家は元来うそつきだが、書いたことには責任を持たなければならない-。東京メトロが先日開いた地下鉄開通90周年の記念講演会で、作家の浅田次郎さんが、自身が考える小説家のあり方をそう話していた▼作家の想像から生み出される小説の世界は現実ではない。ただ、その世界観を構築する上では、背景にあるものや関連する事象を調べ尽くし、「誠実なうそを組み上げる」といった過程が重要になる▼地下鉄を題材とした浅田作品では、地下鉄の歴史から地下鉄が社会・経済や市民に与えた影響までを深く考察しながらストーリーが展開する。史実には残っていないが、作家自身が小説で描いた出来事がどこかで起こっていたと確信しているからこそ、読者も共感を覚えるのだろう▼日々の出来事がネットですぐさま世界中に発信される昨今、事実と異なるうその情報も拡散する。米国では大統領が就任1年を機に、うそだったと見なした報道を「フェイクニュース大賞」として発表。メディアとの対立が深まっている▼立場は違っても、社会に影響を与える情報の発信者にはそ...

【施工は戸田建設】東京音楽大学キャンパス整備、緑の環境プラン部門大賞受賞

 戸田建設が施工中の東京音楽大学中目黒・代官山キャンパス整備(東京都目黒区)の緑化プラン「みどりの鎌倉街道」が、都市緑化機構らが主催する緑の環境プラン大賞で「おもてなしの庭」部門の大賞を受賞した。  同部門は東京都限定の特別企画で、「花と緑で観光客を迎える」プランを募集した。同社開発計画部開発計画1課の戸田千春さんが資料作成とプレゼンテーションを担当。「多くの樹木・草花により、都心でありながら四季折々の風景を感じることができる。さまざまな生きものたちが集まって、ここで奏でられる音楽とみどりとともに、人々をおもてなしする空間を提案した」という。  昨年12月4日に明治記念館(東京都港区)で秋篠宮家の眞子さまご臨席の下、石井啓一国土交通相ら関係者が出席し表彰式が行われ、東京音楽大学の鈴木勝利理事長に表彰状が贈られた。中目黒・代官山キャンパスは19年4月の開校を目指し、工事が順調に進んでいる。設計は日建設計・戸田建設JV、施工は戸田建設東京支店が担当してい...

【イベントなどで交流の場提供】ケイアイスター不動産、業界で働く女性支援

 関東地方を中心に不動産販売を手掛けるケイアイスター不動産(埼玉県本庄市、塙圭二社長)が、不動産業界で働く女性の活躍を後押しする取り組みを展開している。  女性の就業環境を整備することで、産業成長の原動力にしたい狙いがある。17年12月には不動産関連企業で働いていたり、不動産に興味があったりする女性が参加するコミュニティー「ふどうさん女子」を設立。情報交換や交流の場となるイベントを東京・銀座で毎月開いている。  ふどうさん女子がこれまで実施した2回のイベントでは「理想の家」と「住宅ローン」をテーマに設定した。各回とも20~30代を中心に20人以上が参加したという。  今後は不動産の知識だけでなく、女性が前向きに人生を楽しめるような生き方や働き方、お金の計画などについても情報を発信する方針だ。次回のイベントの開催日時は2月15日午後7時から。詳細はふどうさん女子のホームページで近く公開す...

【インバウンド増加追い風に】札幌市内、中規模ホテルの建設ラッシュに沸く

インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を追い風に、札幌市内でホテル建設が加速している。  昨年5月には、京王電鉄が北海道初進出となる新ブランドホテル「京王プレリアホテル札幌」の計画を発表するなど、昨年1年間で8件の開発計画が具体化した。  ホテル建設ラッシュに湧く建設業界だが、建設会社の中には「近いうちにホテル建設は終息するのではないか」と、先行きを懸念する声もある。活況はいつまで続くのか、ホテル建設の動向に注目が集まっている。  札幌市内では1月現在、13件のホテル建設が進行中だ。計画されているホテルの規模は延べ6000平方メートル前後の中規模プロジェクトが中心。規模の大きい案件は、京王電鉄の「京王プレリアホテル札幌」(延べ1万5805平方メートル)やJA三井リース建物とサンケイビルの「札幌市中央区南5条計画」(1万1067平方メートル)などが1万平方メートルを超える。  札幌市内でもホテル業者が「採算性の高いホテルにできる」として特に進出を狙うのが、JR札幌駅と市営地...

2018年1月24日水曜日

【日立台、三協フロンテア柏スタジアムに】三協フロンテア、レイソルとネーミングライツ契約締結

 ユニットハウスの製造販売などを手掛ける三協フロンテア(千葉県柏市、長妻貴嗣社長)は、サッカーJリーグ・柏レイソルとホームスタジアムのネーミングライツ契約を結んだ。契約期間は2月1日から2021年1月31日まで3年間。スタジアムの名称は「三協フロンテア柏スタジアム」、略称は「三協F柏」となる。  長妻社長は「柏で創業以来、国内に500以上の拠点を構え、海外にも活動を広げてきた。柏市をはじめ近隣の方々のご厚意に応えるため、(柏レイソルの)スポンサーという形で恩返しをさせていただく」などとコメントした。  同社は建設現場などで使用するユニットハウスをはじめ、トランクルームや立体駐車装置、植物工場の製造・販売・レンタルを手掛ける。社員数は約1250人。2017年3月期の連結業績は売上高371億円、営業利益52億円、経常利益52億円、純利益30億円。  レイソルのホームスタジアム(日立柏サッカー場)の収容人員は1万5349人。Jリーグの多くのクラブが自治体の施設を使用し試合を開催してい...

【インフラツーリズムで地域振興】新丸山ダム工事事務所、旅行会社対象のダム視察会開催へ

 中部地方整備局新丸山ダム工事事務所は26日、旅行会社を対象としたダムなどの視察会を初開催する。ダムとその周辺地域の地域資源などを活用したダムツーリズム展開を目指す。  同事務所とダムの水源地域内にある岐阜県内の2市2町(瑞穂市、恵那市、八百津町、御嵩町)らは昨年8月、丸山ダムや工事が本格化する新丸山ダム建設事業を地域振興に活用することを目的に「新丸山ダム水源地域協議会」を設置した。  検討の一環として、旅行会社と連携し、ダム事業や周辺の自然・文化・伝統といった観光資源を利用したダムツアーへの参加を考えている。当日は、旅行会社の関係者を招き丸山ダム、関西電力の新丸山発電所、八百津町の古い街並みと買い物、瑞穂市の美濃歌舞伎博物館相生座を見学す...

【回転窓】希代の論客を悼む

〈未来は予測できないからクライシスやデインジャーに満ちているのです。それでは消費者も企業家も将来について確率的な計算ができない。そこで公共事業や教育なども含めた公共活動が必要になるのです〉▼今から4年前、元東京大学教授で評論家の西部邁氏が藤井聡京都大学大学院教授との対談で語った言葉である(本紙2014年10月27日付)。だから〈公共事業や公共活動を無視していると未来をまったく予測できなくなる〉とも▼1990年代後半に公共事業バッシングの風が吹き荒れる中、大衆社会論を展開していた西部氏は土木学会誌に寄稿。先に紹介した土木学会創立100周年記念の対談シリーズ「築土構木の思想」でも公共事業の必要性などについて持論を述べた。その本質を突く指摘の数々を聞き、取材の時間がたつのがとても早く感じたのを覚えている▼21日に西部氏の死去が報じられた。保守派の論客として知られ、評論活動だけでなくテレビの討論番組にも出演。鋭い批判が注目を集めた▼〈公共活動〉がなぜ欠かせないか。こうした大切なことを分か...

【AIロボがお出迎え】戸田建設、技研(茨城県つくば市)に対話型ロボ導入

 戸田建設は、筑波技術研究所(茨城県つくば市)に人工知能(AI)を搭載したコミュニケーションロボット「unibo(ユニボ)」を導入した。  ユニボに同社の作業着とヘルメットを着用させ、受付や施設紹介に活用。研究所員の業務効率化を図るとともに、施設見学の来訪者や子どもたちとのコミュニケーションツールとして利用する。  ユニボはAIによってユーザーの趣味嗜好(しこう)を学習できる。日常会話のほか、ビデオ・音声通話、スケジュール管理、天気情報などの機能をもつ。  技研に導入したユニボは主に受付で、音声操作により担当者を呼び出す業務や、目的の施設への行き方を画面と音声で案内。プレゼンテーションソフトと連携し、見学者に施設の概要を紹介する。親しみを感じる動作やデザインなども訪問者から好評という。  技研には約500人が訪れる。施設案内は専門性が高く、これまでは訪問者への応対を全て研究所員が担ってきた。ユニボが業務の一部を行うことで、研究所員は技術の詳細説明に注力できるようになった。 ...

【今回の依頼主は〝悪の科学者〟!!】前田建設ファンタジー営業部、4年半の沈黙破り新規案件受注

連載ではマジンガーZの世界観で入札方式を解説(ⓒ永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会)  前田建設の社内プロジェクト「ファンタジー営業部」が、全国の劇場で上映中の「マジンガーZ/INFINITY」とコラボレーションし、新作のウェブ連載を始めた。悪の科学者ドクター・ヘルの依頼を受け、原価開示方式で透明性を守りながらドクター・ヘル配下の軍団をマネジメントし、光子力研究所の改造に挑む。  4年半ぶりの連載は全3話。謎の復活を遂げたドクター・ヘルが打診してきた人類との共存共栄という要求に対し、意見が分かれる各国の合意に向けた時間を稼ぐため、ドクター・ヘルに光子力エネルギーを提供するというストーリーだ。  ファンタジー営業部のミッションは、光子力エネルギー供給のため光子力研究所の改造工事。人類との共存共栄というドクター・ヘルの要求を満たすため、前田建設がCMr(コンストラクションマネージャー)として、ドクター・ヘル配下で調査・設計担当の鉄十字軍団と施工担当の鉄仮面軍団をマネジメン...

【こちら人事部】フジタ/情熱持って頑張れる人に

 ◇若手のうちから活躍期待◇  1910年に広島で創業し、100年以上の歴史を積み重ねてきたフジタ。2013年に大和ハウスグループの一員となり、15年に大和小田急建設と合併して以降、業績を伸ばしている。  その中で今後、必要になるのが人材の確保だ。採用を担当する管理本部人事部の黒川佳祐さんは「60年余りの実績がある『海外事業』と、脱請負を掲げて取り組んできた『開発事業』が当社の強み。加えて、新規事業も積極的に展開し、会社としてさらに成長していくため、優秀な人材の獲得に力を入れている」と話す。  同社が求める人材は、▽「スピード感」を持って物事に取り組む▽責任を持って達成するまで「やり切る」▽結果を「検証」して次の行動につなげる-の3点。これらを基に採用活動を展開。さらに黒川さんは、「フジタは若手社員にも責任のある仕事を任せる。主体性を持ち、困難な壁にも粘り強くチャレンジする人を求めている」と説明。その上で「女性や外国籍の人材も区別なく採用している」と話す。  「現実をしっかり...

2018年1月23日火曜日

【回転窓】経営者の言葉が持つ力

ビットコインやリップルなどの仮想通貨が今月17日に大きく値を下げ、投資家に冷や水を浴びせた。韓国当局などが規制強化を検討しているとの報道がきっかけ▼先月に約2万ドルだった1ビットコインの価格が半分程度に下落した。市場の不安定さが再認識された格好だが、書店に並ぶ投資関連の本には大抵、こう書いてある。「短期的な動きに一喜一憂せず、巨視的に市場を見ることが重要だ」▼「東京五輪関連や首都圏の再開発が活発だ。2~3年は良い状態が続く」。都内で開かれている業界の賀詞交歓会を取材すると、多くのトップがそう切り出す。不況の影が業界を覆っていた10年ほど前、「業界を取り巻く環境は厳しく、景気の先行きも不透明」と悲観的な言葉で始まることが多かったのとは対照的だ▼言葉の力は大きい。かつての後ろ向きの言辞が若者の建設業離れの遠因になった可能性もある。景気は移ろいやすく制御することも難しい。経営者がすべきことは、景気の動きをただ見えるままに語ることではないだろう▼現実を見据えつつも、多様な言説に惑わされず...

【記者手帖】夢に応える働き方改革を

年明けから早くも3週間が過ぎた。毎年この時期は各団体の賀詞交歓会を数多く取材する。その中で今年は、昨年以上に担い手の確保・育成への対応が必要という言葉を耳にすることが多く、業界の危機感は確実に高まっていると改めて感じた◆ある専門工事業団体は、手弁当で高校などへの出張授業を続けているにもかかわらず、新卒者を確保するのが非常に難しいという。そうした状況の中でも、「今年はものづくりへの夢を持った若者が入ってくれた」とうれしそうに語るある企業のトップの笑顔が強く印象に残った◆時代が変わっても、ものづくりへの憧れが薄れることはないと思いたい。だが、労働人口が確実に減っていくという現実を考えれば、労働に見合う賃金が得られ、週休2日を確保できるなど、就労環境の改善は欠かせない◆IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)といった最新技術を活用して生産性を高めながら、就職先の選択肢として建設業界が外せないような環境をどう整備するか。官民一体で働き方改革を進めることがこれまで以上に求められる。...

【技・人づくり専門工事業ファイル】中屋敷左官工業(札幌市)/新入社員が笑顔でいられる会社めざす

 ◇6年前に採用と教育を抜本改革◇  札幌市を拠点に一般住宅やマンション、大規模ビルなどの左官工事を手掛ける中屋敷左官工業。社員の平均年齢は現在40代で、今春に新卒者が入ると30代に下がるという。  離職者が後を絶たない状況に苦慮していた中屋敷剛社長が、あることをきっかけに一念発起したのが6年前。採用と教育を抜本的に見直すことで、高齢化が進行する業界内にあって社員の若返りを図り、事業の活性化につなげている。  先代の父が急死したのに伴い、ゼネコン社員だった中屋敷氏が社長に就任したのは1995年。28歳の時だった。だがその後、売り上げは伸ばしつつも、採用した若者がすぐに辞めてしまうという悩みを抱えていた。  ある日、女性事務員に頼んで作成した5年後、10年後の従業員名簿を見て、高齢化の進行にがくぜんとした。「これでは未来がない」。中屋敷氏は、これまでの求人のやり方を抜本的に改めようと考えた。  まず取り組んだのが、新しい会社案内作り。「お客さまと共に喜びや感動を創造」「左官の...

【小学生とゼネコン技術者がコラボ】未来の土木コンテスト、最優秀賞に「遊びと笑顔で発電公園」

 子どものアイデアを土木技術者が実現します-。  小学生の描く未来の街のアイデアを技術者が一緒に考える「未来の土木コンテスト」(土木学会主催)の公開最終選考会が20日に都内で行われ、福島市内の小学校に通う遠藤萌花さんと準大手ゼネコン6社の技術者で編成した「チーム遠藤」のプレゼンテーション案が最優秀賞を受賞した。  遠藤萌花さんが提案したのは「遊びと笑顔で発電公園」。災害時の避難所となる公園の遊具などに緊急時にも活用できる発電機能を持たせるという遠藤さんのアイデアに対して、6社の技術者は滑り台やブランコなどに床振動発電装置を取り付ける方法や、遊び回る子どもの声を利用して発電するシステムを採用した。  さらに一つの公園だけでなく、全国の公園に導入して電力をマイクロ波送電システムで集め、大規模地震などの緊急時に各地で活用するという提案も行った。 遠藤萌花さんが提案した「遊びと笑顔で発電公園...

2018年1月22日月曜日

【回転窓】「伝統美」も次世代に

年初に一年の工事の安全と事業の繁栄を祈って行われる伝統の祭事・儀式。団体や企業がこれから始まる工事の安全を祈る年頭儀式の様子が1月の本紙には数多く紹介される▼東京・霞が関の国土交通省では先日、日本鳶工業連合会(日鳶連)が新年行事の一つ「祝い木遣り」を披露。今年もはんてん姿のりりしい木遣り師たちが、張りのある伸びやかな声で伝統の労働歌を歌い上げた▼木遣りは建設資材を運搬すること。その時に歌われるのが「木遣り歌」である。建設機械がなかった時代に大勢の労働者が大木や巨石などを人力で運ぶ際、力を一つにして士気を高めるための「呼び声」として使ったという▼起源は諸説ある。古来、家を共同で造る風習があり、そのころから歌われてきたともいわれる。一説には1202年の京都・建仁寺の造営で歌われたものが始まりとも。種類は120曲程度。中には無形文化財に指定されている曲もある▼伴奏も音符もなく、口伝えによって現代までメロディーが受け継がれてきた。技術や技能の継承が叫ばれて久しい。建設文化が培ってきた「伝...

【アジア大会開催へ収容人数3・5万に拡張】瑞穂陸上競技場、改築に民活導入検討

名古屋市教育委員会は19日、「瑞穂陸上競技場改築にかかる民間活力導入可能性調査業務」の一般競争入札を公告した。事後審査型。2月5日に市役所西庁舎12階の入札室で入・開札する。  参加できるのは、「建築設計・監理」または「調査(社会系)」の競争入札参加資格がある建設コンサルタント。単体企業、共同企業体のいずれも可能。市内に本店・支店・営業所、同種業務実績が条件。  瑞穂区山下通5にある同競技場は1941年の完成で、その後に何度か改修された。愛知県内唯一の第1種公認陸上競技場だが、老朽化が目立つほか、国際的・全国的な大会実施に必要な諸室も不足している。加えて、2026年に愛知・名古屋で開催される第20回アジア競技大会のメイン会場になることから市は、収容人員を2万7000人から3万5000人(可動席含む)へ増やすなどの大規模な改築を計画している。  同業務では、3案程度の基本計画図を作成、工事計画や概算工事費、維持管理経費を検討する。その上で、民間事業者に対し、意向調査(サウンデ...

【凜】西松建設関東建築支社・林伸子さん

 ◇海外での活躍を夢見て日々奮闘◇  初めての女性総合職として採用され、入社2年目。作業所での庶務や事務、会議の資料作りなどを担当し、現場運営を一生懸命に支える日々を過ごす。  大学では文系を専攻していたが「人が集まる空間を造りたい」という目標を持って就職活動に取り組んだ。人事担当者との会話の中で、仕事に愛着を持つ社員が多いと感じたという理由から、同社への入社を決断した。  信条は、できなくても投げ出さないこと。「諦めなければいつか絶対乗り越えられると思って業務に臨んでいる」と話す。  建設業特有の事務作業にまだ慣れていない面があり、上司や先輩に間違いを正されることも。「ミスを指摘してくれるのは気に掛けてくれている証拠。とてもありがたいと思っている」と前向きだ。  昨年12月には、入社後初めて担当した施設が竣工を迎えた。「入社当初から目にしてきた建物が次第に形を変えて完成した姿を見ると、やり切ったという充実感で満たされる。同時に、今まで一緒に頑張ってきた仲間と散り散りに...

【中堅世代】それぞれの建設業・189

若い社員の獲得が大きな悩み。子どもの頃から建設業に親しんでもらう必要がある  ◇〝このまま〟を維持するために◇  地場建設会社の2代目として、日々奔走する神田憲広さん(仮名)。10年後の目標を聞くと、「今の売り上げや利益を現状のまま維持していくこと」という答えが返ってきた。それが、従業員やその家族を守ることにつながると考えている。  もともとは建設会社を継ぐつもりなどなかった。大学では理学部に進み、就職先は製造業関係の大企業を選んだ。だが、仕事に慣れたころに、父から連絡が来た。「若手の技術者が育ってきた。若い子たちの未来を考えると、自分の代で会社をたたむことはできない」。地元に戻って、建設会社の仕事を一緒にやってほしいと、頭を下げられた。覚悟を決めるまで、1年ぐらいかかった。  相当な決意での転職だったが、入ってみて、がくぜんとした。現場は雑然としていて、はっきり言って汚い。仕事のレベルも低いと感じた。公共事業が減少し、業界を取り巻く環境が悪化している時期だった。このまま...

【サークル】中日本高速道路グループ・フットサル愛好者の集い「速猿CUP」

 ◇人と人のつながり広める◇  2008年末、新入社員らのフットサル同好会「FC速猿(はやざる)」が社内の他チームに声掛けして行った小さな大会を機に、翌年8チーム参加の「速猿CUP」を初開催した。  現在、中日本高速道路グループ内では各職場や同期単位でフットサルチームが多数結成されている。速猿CUPには毎回8~14チーム(約100~200人)が参加。今春の第15回大会では試合形式以外に、PK合戦などの実施も検討中だ。  社内のフットサル熱をさらに高めるため、若手同期チーム限定の大会「速猿スピンオフ」も合宿スタイルで毎年秋に開催する。  活動のモットーは「フットサルを通じて人と人とのつながりを広めていく」。  3代目幹事を務める佐藤啓介さん(東京支社厚木工事事務所伊勢原西工事区)は「グループ内でこれだけの人が集まってスポーツをする機会は少なく、『速猿CUP』は貴重な大会」と説明。大会のレベルが年々上がる一方、初心者が入りづらく感じるのか、新規参入チームが少ないという課題も。今...

【駆け出しのころ】春山建設専務取締役・金山太氏

 ◇会社立て直しへ戦いの日々◇  東京の私立大学を卒業して1994年に大和ハウス工業に入社し、札幌支店でマンション販売の営業マンとして社会人の第一歩を踏み出しました。仕事を覚え、成績も残せるようになった2年半後のある日、「30歳まで外の企業で勉強して来い」と言っていた父(金山正一社長)から急きょ「あと半年で戻れ」と連絡がありました。後ろ髪を引かれる思いで97年3月31日に退社し、4月1日に春山建設(宮城県岩沼市)に入ることになりました。  戻ってみると会社は危機的状況でした。同族企業の悪い面がまん延し、工事の受注は伸びているのに利益が上がらない。社長は、私を呼び戻すことで社を立て直す突破口を開きたかったのでしょう。  配置部署や待遇を検討する余裕もなく、グループ企業の春山運輸に出向のような形で席を置きましたが、することが無い。翌月から94年の集中豪雨による五間堀川の激甚災害関連護岸工事の現場に回されましたが、やはり私の仕事がありません。せめて自分の給料分は働かなければと居ても...

2018年1月19日金曜日

【回転窓】現代版「背中を見て学ぶ」

陸上や水泳、スケートのような100分の1、1000分の1秒を争う世界では、体をいかに無駄なく動かすかが記録を左右する。記録保持者と同じ動きができればおのずと記録は伸びる▼記録保持者の動きを映像で分析してまねる。現代のアスリートは、そうした科学的トレーニングを積んだ結果、フォームがしっかりしており、大きなスランプに陥ることも少ないと聞いた▼アスリートほど精緻ではなくても、職人の世界で一流と呼ばれる人たちと同じように動くことができれば、技能を高めることができよう。憧れの職人の技を徹底的にまねることは、技能習得の近道ともいえる▼スマートフォンやタブレット端末などが普及した今は、映像を手軽に撮ったり見たりすることができる。一流の職人の技を収めた動画を技能習得に役立てようという活動を先日取材した▼国土交通省も、生産性向上の一環としてそうした活動を後押ししようと、職人の基礎的な技能を撮影した映像コンテンツを制作するなどの支援に乗りだした。「親方の背中を見て学べ」というかつての教育手法を現代版...

【コンプリートに挑戦を!!】横須賀市、トンネルカードの配布開始へ

1月22日から配布する全10種類の「トンネルカード」(写真提供:横須賀市) 神奈川県横須賀市は観光振興策の一環で、市内のトンネルを紹介する「トンネルカード」を発行する。カードにはトンネルの写真とともに、所在地や特徴、歴史などを記載。22日から市内の飲食店10店舗で配布を開始する。自治体がトンネルをテーマとしたカードを発行するのは全国で初めてという。  「日本一トンネルの多い街」と呼ばれる横須賀市には100カ所以上のトンネルが点在。そのうち、大正時代に造られた「船越隧道(ずいどう)」や東京湾唯一の無人島・猿島にあるトンネルなど10カ所を厳選し、製作した。  カードは企画に賛同した飲食店10店舗で、トンネルをイメージした商品「トンネルグルメ」を購入すると入手できる。全種類を集めるとレアカードがもらえる。  市の担当者によると、以前発行した市内のトンネルを紹介する「トンネルマップ」が好評だったことから、トンネルの観光資源としての魅力を認識し、カードの発行を決めたとい...

【試作6作品、学生モデルがお披露目】全建協連とモード学園、2月に学生デザインユニの発表会

全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は、東京モード学園と行っている「ユニフォームデザインプロジェクト」の発表会を2月15日に東京・西新宿にある同校のコクーンホールで開く。  約500作品の応募の中から選定した最優秀賞(男性・女性用各1作品)、優秀賞(同各2作品)の計6作品の試作品を同校の学生がモデルとなって着用し、お披露目する。  全建協連は、働き方改革の一環として「誰もが着たくなるユニフォームで業界のイメージを刷新!」をコンセプトにプロジェクトを実施中。同校に協力要請し、「おしゃれでかっこいい」と感じられる現場のユニホームを学生にデザインしてもらった。  現在、ミドリ安全が6作品を実際のユニホームに仕立てている。発表会は、青柳会長の意向でテーマを「自信と誇りを着る」に設定した。デモンストレーションも行う予定で、行政や団体など建設業の関係者を招き、「身の回りからの働き方改革」を促すユニホームをアピール...