2018年1月4日木曜日

【職人が語る「技の極み」】とび・布施龍一さん(向井建設)

 ◇とびは現場のリーダー、後輩の手本になる存在に◇

 栃木県で昨年11月24日から27日にかけて行われた第55回技能五輪大会(中央職業能力開発協会主催)の「とび競技」に東京都代表として出場し、金メダルを手にした向井建設の布施龍一さん。前回大会は、僅差で銀メダルに泣いた。雪辱を果たそうと再チャレンジを会社に懇願。1カ月に及ぶ訓練を経て、3位(銅メダル)に入った会社の後輩、黒田凌多さん(千葉県代表)と共に快挙を成し遂げた。

 山形県の工業高校を卒業して同社に入社して4年目。県外で憧れのとびの仕事に就こうと会社を探す中で、学校に求人票も来ていた同社をインターネットで調べてみると、「信頼できそうな会社」と思った。教師が背中を押してくれたことも就職の決め手となった。

 確かに仕事はきつい。それでも地図に形が残る建設業のものづくりは、誰にでも誇れる仕事であり、そこにやりがいも感じる。しかもとびは「常に現場の最前線に立つリーダー的な存在」。自分もそうありたいと思う。経験を積みながら「大きな現場を任せてもらい、後輩の手本となるような職人になりたい」と話す。

 技能五輪の1カ月前から千葉県市川市にある同社の研修センター「技士の館」で黒田さんと共に集中トレーニングの日々を送った。その間は現場に出ず、主催者側から公表された大会の課題(登り桟橋高床式寄棟小屋組)を組んでは解体する作業を繰り返し、前回大会で惜敗の要因ともなった作業スピードを上げることに特に力を入れて取り組んだ。会社の全面的なバックアップを受けたトレーニングの成果もあり、大会では「集中して作業に臨むことができた」という。

 大会が終わり、今は都内の現場で鉄骨の作業に従事する。大会の課題とは直接的な関係がなくても、チャレンジした経験はこれからの仕事の中で生かされていくはずだ。

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