2018年1月22日月曜日

【回転窓】「伝統美」も次世代に

年初に一年の工事の安全と事業の繁栄を祈って行われる伝統の祭事・儀式。団体や企業がこれから始まる工事の安全を祈る年頭儀式の様子が1月の本紙には数多く紹介される▼東京・霞が関の国土交通省では先日、日本鳶工業連合会(日鳶連)が新年行事の一つ「祝い木遣り」を披露。今年もはんてん姿のりりしい木遣り師たちが、張りのある伸びやかな声で伝統の労働歌を歌い上げた▼木遣りは建設資材を運搬すること。その時に歌われるのが「木遣り歌」である。建設機械がなかった時代に大勢の労働者が大木や巨石などを人力で運ぶ際、力を一つにして士気を高めるための「呼び声」として使ったという▼起源は諸説ある。古来、家を共同で造る風習があり、そのころから歌われてきたともいわれる。一説には1202年の京都・建仁寺の造営で歌われたものが始まりとも。種類は120曲程度。中には無形文化財に指定されている曲もある▼伴奏も音符もなく、口伝えによって現代までメロディーが受け継がれてきた。技術や技能の継承が叫ばれて久しい。建設文化が培ってきた「伝統美」も次世代に引き継いでいきたい。

0 コメント :

コメントを投稿