本紙連載「建設契約講座」の筆者・草柳俊二氏が近著に書いている。〈幕末という時代において、世界から日本を見つめることの出来た極めて稀な日本人…〉。この日本人とは現在の高知県土佐清水市に生まれ、日米和親条約の締結などに貢献した「ジョン万次郎」こと中浜万次郎である▼仲間と漁に出て遭難した万次郎は無人島に漂着し、米国の捕鯨船に助けられて渡米。そこで学んだ英語や測量学、航海術、造船技術などが帰国後に大いに役立ち、後に幕末の「陰の立役者」と評されるほどの活躍を見せる▼万次郎の辿(たど)った道を「帆船」との関係から捉えた一冊が『幕末と帆船 ジョン万次郎が歩んだ道』(NPO法人高知社会基盤システムセンター発行)。帆船模型の製作も手掛ける草柳氏がこのほど上梓(じょうし)した▼「人」の足跡と、帆船という「物」を組み合わせて幕末がどのような時代であったかを浮かび上がらせる。これまでにないコンセプトで書かれた本で、帆船の構造や建造技術の変遷も知ることができる▼今年はジョン万次郎没後120年。国際化がより進展していく時代にその功績を改めて振り返る意味は大きい。
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