2018年1月4日木曜日

【職人が語る「技の極み」】塗装工・清水義行さん(佐藤興業)

 ◇喜んでもらえる仕事に徹する◇

 塗装職人で5年前に亡くなった父の命日に当たる昨年10月25日。愛知県体育館で開かれた第25回全国建築塗装技能競技大会(日本塗装工業会主催)で、自身2回目の挑戦にして最優秀賞の内閣総理大臣賞を手にした。

 「やっと父に恩返しができた」と感慨もひとしおの清水さんがこの世界に入ったのは18歳の時。27年間、大手ゼネコンが手掛ける建築現場で塗装の仕事に取り組んできた。昔気質の職人だった父や厳しい先輩たちにもまれながら、職人としての技を磨いてきた。

 現場では普段、年の近い3人で「清水班」として塗装施工を手掛ける。職長として意識するのは、「誰がやっても均一な仕上がりになること」。それぞれ得意、不得意があったとしても、互いが補えるようにすることでさまざまな場面を乗り切ってきた。現場で生じた課題はあまり引きずらず、「次の現場に生かしていこう」と常にポジティブな姿勢でいる。それが仕事を続けていく上では重要だ。

 3年前から千葉県浦安市にある佐藤興業ペイントマジック事業部の工房で月2回、デコレイティブアーティストの神谷廣正氏から米国直伝の特殊塗装の技法を学んでいる。木目や大理石などを壁面などに描くこの技法は、通常の塗装とは別のスキルが求められる。練習を重ねて体得することで「設計者の方とも対話できるようになった」という。

 塗装の仕事は、自分のやった分だけの成果が目に見えて残る。施主、設計事務所、元請のゼネコンが思い描いていることを壁面に具現化することを通じ、「皆さんに喜んでもらえれば」。そのためには物件ごとに異なる要求にいつでも応えられるようにしなければならない。総理大臣賞もばねに、今後も技に磨きを掛けていく。

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