◇特殊塗装研修で技能の幅広げる◇
建築塗装の佐藤興業(東京都千代田区、佐藤周平社長)は、社員や協力会社で働く職人に特殊塗装の技能を習得してもらおうと、定期的な研修会を実施している。
千葉県浦安市にある同社ペイントマジック事業部の工房で行う研修会では、日々の施工で用いるはけを駆使して大理石やガラス瓶などを描く技法を学び、塗装職人としての幅を広げるのに役立てている。
1年半ほど前から定期的に行っている特殊塗装の研修会は、日中と夜間に月1回ずつ開催する。普段は一般塗装の現場に従事する職人たちに呼び掛け、自主的な参加を促している。夜間の部の研修は、その日の現場作業が終了した職人たちが工房に集まってきて、午後7時ごろに始まる。工房は15人も集まればほぼいっぱいになる。その中で課題として与えられる題材の写真を見ながら、真剣な面持ちでそれを用紙の上に描いていく。作業に集中すると時がたつのも忘れ、終了時間はいつも11時ぐらいになる。
講師は、ペイントマジック事業部長でデコレイティブアーティストの神谷廣正氏が務める。神谷氏は30年ほど前に米国で特殊塗装を修行。普段は工房で顧客のさまざまな依頼に応じた特殊塗装の見本を作り、それを現場に展開する時の技術指導に当たっている。有名テーマパークをはじめ、これまで数々の現場で特殊塗装に取り組んできた実績を持つ。
神谷氏によると、特殊塗装のポイントは「色の濃淡とはけの使い方」にあるという。使用するはけは普段の施工に用いる一般塗装と同じものだが、異なるのはそのやり方だ。はけを縦にしたり、たたいたり、腹の部分を使ったりする。普段はやらないような技法を駆使することではけの可能性を引き出す。そうした訓練を重ねることによって、技能に幅を持たせるようにすることが、この研修会の狙いでもある。最初から細部にこだわり過ぎず、まずは「大枠を作ってから徐々にディテールを入れていくようにする」など、全体を捉えた上での作業も必要だとする。
神谷氏と相談して研修会を企画した佐藤東平取締役営業部長は、同社の強みである特殊塗装の技能の底上げを図り、「顧客への提案にも役立てていきたい」と話す。
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