2018年1月4日木曜日

【職人が語る「技の極み」】鉄筋工・谷口圭さん(富田興業)

 ◇鉄筋の力量は見えなくなってから◇

 昨年11月25日に千葉市の幕張メッセで開かれた第2回全国鉄筋技能大会(TETSU1グランプリ)で優勝した関西代表の谷口圭さん(富田興業)。「鉄筋EXPO2017」の会場での開催ということもあり、一般客も多く見守る中で、栄冠を手にしながら、「大会を見にきた子どもたちや10代の人たちがこういう世界に足を踏み入れるきっかけになれば」と期待を込めた。

 21歳で鉄筋工として働き始めた谷口さんがなりたかったのは実は宮大工。のみやかんなを使って緻密に仕事をすることに憧れていたそうだ。

 結婚し、今では19歳になった長女が誕生した時、家族を養うために知り合いの紹介で始めたのが今の仕事。厳しい指導を受けながらも徐々にその楽しさを感じるようになり、19年目の今では、関西を中心にマンションなど数々の現場で職長として作業を指揮する立場にある。

 そんな谷口さんにとって鉄筋の魅力は、「コンクリートと融合して初めて力を発揮すること」だとか。組まれた鉄筋がコンクリート打設で見えなくなって初めて期待される本来の機能が出てくる。それは、建物にとって陰の立て役者そのもの。そこに鉄筋工としてのプライドがある。鉄筋がどんなにきれいに組めたとしても、谷口さんにとっては「見えているうちはただのスクラップ」だという。

 2年前に富士教育訓練センターで行われた1回目のTETSU1グランプリは、関西代表を決める予選会で惜敗。それだけに今回はリベンジの気持ちが強く、事前に課題を50回ほど組んで臨み、その努力が見事に花開いた。雪辱を果たした大会の表彰式で、「謙虚な気持ちを忘れず日々精進。あすからも魂込めて結束します」と力を込めた。

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