2018年1月29日月曜日

【建設業の心温まる物語】亀田組(石川県)・亀田重樹さん

 ◇どんな会社か理解してもらえるチャンス◇

 20年ほど前に、県道改良工事を施工したときのお話です。道路の両側にある開口水路をふたつきの水路にして道路幅を1メートル拡幅する工事でした。当時私は入社して2年目くらいで、工事の内容や施工方法を理解しておらず、先輩社員の指示に従うだけで精いっぱいの毎日でした。

 工事をしている道路は地域の生活道路だったため、朝は小中高生や出勤する住民の通行で混雑していました。その上、車がぎりぎり2台通過できるかどうかの狭い県道でした。わたしが子供のころから歩行者が通行しにくい道路で、たまに水路に落ちてしまう人がいたほどです。

 そんな状況のため、工事中は毎朝のように、近隣の方々から苦情を言われ、工事がなかなか進まず、工事が始まってから10年近くかかっていました。

 私は近隣住民に迷惑をかけているのでせめて何か手伝いができないかと思い、朝の小学生の通学パトロール、ゴミ出しの手伝い、高齢の方の手伝いなどを長い間続けていました。その気持ちがようやく通じ、工事が完了するころには地域の方々から「道路を広げてくれてありがとう」とお礼を言われることが多くなりました。

 長い年月をかけて、こつこつと進捗(しんちょく)する工事を進める事は苦労が多いです。しかし、「地域の方々に自社のことを理解してもらうことができるチャンスをいただいているんだな」と思えるようになりました。今では私の息子がその道路を元気に登校しています。

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