建設現場でICT(情報通信技術)やロボットを活用する動きが広がる中、機械やシステムが不具合を起こす前に検知し、最悪の事態を回避する「予兆保全」などの新ビジネスが脚光を浴び始めている。現場作業を補完するロボットスーツや高所点検を効率化するドローン(小型無人機)などは人間の作業負担が減る一方で、ひとたび不具合が生じれば生産活動が停止してしまうリスクもある。日進月歩で進化する技術を建設現場にどう活用していくのか。新規需要を探る動きは活発になっている。
17~19日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「ロボデックス-ロボット開発・活用展」。会場には人工知能(AI)やロボット、IoT(モノのインターネット)システムなどが所狭しと並べられ、担当者らが製品を熱心にアピールした。
生産現場で自動化、ロボット化の動きが拡大する中、機械に不具合が生じる前に予兆を見つけ出し、対策を促す「予兆保全」ビジネスに目を付ける企業が出始めている。
不具合を検出するとランプで警告。利用者は1日に何度かパソコンで観測結果を確認するだけで、不具合の予兆を察知できる。信和産業の担当者は「技術革新が進むにつれ、事故や不具合で受ける被害規模が大きくなっている」と指摘。先端技術が普及すればするほど、不具合の予兆をいち早くとらえる予兆保全ビジネスの商機が拡大すると展望している。
東京理科大学の教授らが立ち上げたベンチャー企業・イノフィスは、「マッスルスーツ」を出展した。重量物の上げ下ろしを補助するウェアラブルロボットで、作業時の腰への負担が減らせる。購入先の7割は介護業界だが、建設・物流業界からの引き合いも急増しているという。
同社の担当者は「中国やアジアでも高齢化問題は顕在化してくる。市場は世界に広がる」と製品の将来性に自信を見せる。
産業機械などを扱うJUKIは、工場作業を自動化する需要の高まりを受け、部品棚から生産ラインまで、制御基盤などの電子部品を運ぶロボット・システムを展示した。トピー工業らも床下・設備点検ロボット「エニーライト」を出展し、来場者の関心を引いていた。
エニーライトは住宅の床下や工場のエアダクト内などを走らせ、搭載した高性能カメラで内部の様子を撮影・把握できる。住宅リフォーム業界などを中心に導入が広がる。赤外線サーモグラフィーカメラを積んだドローンで太陽光発電パネルの損傷を検出する、エアロエムズの「ドローン設備点検システム」にも人だかりができていた。
上空からドローンで太陽光パネルをチェックし、4~5日かかっていた4000枚の点検を4時間で終えられる。同社の担当者は「太陽光発電の新設案件は減ったが、維持管理費を下げる要望は増えている。建物の外壁点検・修繕にドローンを使う動きも活発になってきた」と市場の広がりを説く。
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