かつての「蝦夷(えぞ)地」が「北海道」と命名されて今年は150年の節目に当たる。名付け親は三重県松阪市出身の探検家、松浦武四郎▼「北加伊道」など6案を明治政府に提案し、最終的に現在の名称となった。「カイ」という言葉に「この地で生まれたもの」という意味があると、アイヌ民族の長老から教わり、先住民族の存在を尊重する思いを込めたと言われる▼松浦は6回にわたって現地踏査を行い、地形やアイヌの暮らしなどを詳細に記録した。蝦夷地通として知られ、大久保利通や西郷隆盛らも情報を得ようと訪れていたという。踏査を通じ、現地の人々が搾取されている状況も目の当たりにした。改善を訴えたが、反発を受け、思うようにはいかなかった▼北海道は今月、命名150年事業のキックオフイベントを実施。松浦の生誕200年にも当たることから、松阪市も記念事業を展開する▼「住む人の命と文化を守るのが(行政の)最大の仕事と指摘した心優しい旅人」。長年研究した秋葉實さんは松浦をそう評していたそうだ。人に寄り添う精神を持って物事が進められているか。改めて考える機会にもしたい。
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