◇基礎技能からモデル施工まで◇
東京都立多摩職業能力開発センター(東京都昭島市)の建築設備科は、設備工事会社、水道工事店などで活躍する職人や現場監督となる人材を1年間のプログラムで養成する。
塩化ビニル管、銅管、鋼管の3種類の管を扱う基礎的技能を身に付けた上で、モデル建物を使った本番さながらの配管工事にチーム編成で取り組む。修了者は、2級配管技能検定の学科試験が免除される。
1年間で1600時限に及ぶカリキュラムの前半は、与えられた枠組み課題がメイン。3種類の管を切断、接合し、図面通りに配管する作業を繰り返す。半年で12~13の課題に取り組むが、1課題当たり2回組むのが原則だ。
1回目はまず組んでみて、指導員からの指摘事項を聞き、各自で検証。反省点を踏まえて2回目を組む反復練習で、しっかりとした技能を身に付けられるようにする。2回目の作業は、必要な工具や材料を各自でそろえてから開始することで、「段取り八分」の重要性を覚えていく。
夏場のインターンシップでは、受け入れ企業での就業体験を通じて働くことをイメージ。これを就職活動にも役立てる。
カリキュラム後半は、実物に見立てたモデル建物を使っての配管作業だ。木造住宅を想定した配管作業では、洗面台や大便器など衛生器具、エアコンの取り付けなども行う。
マンションや学校などを想定したモデル建物での配管は、4~5人のチームでCADを用いたプランニングから立体図を起こし、材料拾い、積算などを行う。「チーム作業を通じて現場で重視されるコミュニケーション力も養う」と語るのは、科目担当の職業訓練指導員。黒板に作業内容を書いた工事写真の撮影も学び、日報も当番を決めて毎日書く。
1月には23歳以下に出場資格がある技能五輪に向けた予選会も行われ、一定の成績を収めると2級検定の実技が免除される。学科免除も合わせ、修了後に申請すれば2級検定を取得することができる。
建築設備科だけでも多摩地域に加え、都外や大手を含めて100社から求人が寄せられる。就職率はほぼ100%。卒業生の中から水道工事店を経営する人材も出てきている。本年度は10代を中心に50歳代まで幅広い年齢層の20人が受講している。
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