経済産業省は、地方都市における総合体育館からアリーナへの改革モデルのケーススタディーとして鹿児島県総合体育センター体育館のアリーナ施設としての建て替えを想定した簡易シミュレーションの結果を明らかにした。鹿児島市内の県有地2カ所と民有地1カ所を候補地に挙げ延べ約1万7200~2万平方メートルの施設を整備する場合の試算を行い、鹿児島中央駅前であれば初期投資費用を供用期間中に回収でき、最も条件が良いとした。
新日本有限責任監査法人に業務委託してまとめた「観光資源等を活用した地域高度化計画の策定等支援事業(魅力あるスタジアム・アリーナを核としたまちづくりに関する計画策定等事業)」の報告書で明らかにした。
報告書で挙げた候補地は▽鹿児島中央駅前(県有地、約1ヘクタール)▽鴨池(民有地、約4・4ヘクタール)▽谷山(県有地、約4・21ヘクタール)。
施設は多目的利用やスポーツ興業利用に対応し、メインアリーナはバスケットボール3面規模で最大8000人収容、サブアリーナはバスケットボール2面規模で観客席200~300席程度と設定した。
施設計画の条件データ一覧 (経産省事業報告書より) |
事業スキームとしてDB(設計・施工一括発注)+コンセッション(公共施設等運営権)の採用を想定し収支シミュレーションを行った結果、鹿児島中央駅前であれば37年で初期投資費用を回収でき、これ以外の2カ所は初期投資費用の回収は困難とした。鹿児島中央駅前に整備する場合の県経済への波及効果は約210億円、雇用創出効果は約1600人と分析した。
報告書では鹿児島中央駅前に整備する場合、多目的利用や「みる」スポーツによる稼働率の向上、収入の増加が得られ、新幹線の玄関口としての立地を生かして南九州のエンターテインメント拠点として発展する可能性があると指摘。一方、敷地内に駐車場を整備するのが難しいことや周辺道路の幅員の狭さなどを課題に挙げ、計画の具体化に向けてはさらなる検討が必要で周辺の民有地との一体的な開発の可能性も検討する余地があるとした。
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