2018年2月2日金曜日

【回転窓】記者活動を支えるもの

先日、ある団体の宴席で十数年前に取材したことのある専門工事会社の会長と久しぶりに顔を合わせた。取材当時は社長。あいさつをすると覚えていてくれ、「今でも記事の切り抜きを部屋に飾ってありますよ」。記者冥利(みょうり)に尽きるとはこのことである▼正確に数えたことはないが、1日に平均4本の記事を書くとすると、1年で1000本ほどになる。10年で1万本、20年で2万本…。データとして残ってはいても、全てを覚えてはいられない。思い出深い記事は、それぞれの心の「自分史」に刻まれていよう▼企業や役所、団体のリリース、記者会見、インタビュー、イベントなどの取材を基に記事を書く。自らテーマを定め、丹念に取材を積み上げて書くこともある。苦労の末に書き上げた記事が掲載されれば達成感もある▼自信を持って書いた記事に読者はどのような評価を与えるのか。紙面を通じて取材先や読者と日々向き合う緊張感がこの仕事の醍醐味(だいごみ)とも言える▼読者の「満足」を数値化するのは難しいことだが、喜ばれる数の多さは記者を続けていく上で間違いなく支えになる。会長の温かい言葉が胸に染みた。

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