2017年6月26日月曜日

【工事は16年2月から】新国立競技場、屋根鉄骨工事へ施工検証中

検証で組み立てている大屋根の根元鉄骨
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区霞ケ丘町10の1ほか)の整備事業で、設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが18年2月に始まる大屋根の鉄骨工事に向け、実寸大の部材を使った施工検証を行っている。品質・安全を確保しながら短工期で竣工させるため、施工計画や作業工程・手順などを事前に確認するのが目的。夏頃までに完了させる。

 新国立競技場の屋根部は108スパンの部材で構成。1スパン(付属設備除く)当たり全長60メートル、幅15メートル、重さ130トンの規模で、「根元鉄骨」と「ユニット鉄骨」で組成する。

 いずれの鉄骨も地組みする。根元鉄骨は競技場外側から300トンクローラークレーンでつり上げてスタンドの地上躯体に固定。ユニット鉄骨は競技場のフィールドに組み立てヤードを設け、14スパン分を同時に組み立てる。作業期間は1スパン当たり9日間を想定。組み終えたユニット鉄骨は、フィールドに設置した1000トンクローラークレーンで揚重し、根元鉄骨の先端に接合する。

 ユニット鉄骨には、下弦材と補強するラチス材の鉄骨に木材を地上ではめ込む方針。屋根下地(野地板)やキャットウオーク、スピーカーや照明機器などの設備も地上で組み込み、高所での作業量を低減する。工期は、根元鉄骨が18年2月初旬~同5月末、ユニット鉄骨が同5月初旬~19年2月末。屋根工事全体では同5月中の完了を目指す。
大屋根鉄骨工事のイメージ
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
大成建設JVは6月初旬から現場での検証を開始した。屋根部の北東側2スパンを検証のモデル範囲に位置付けた。同範囲は、屋根空洞部内周のカーブの開始地点で、むくりを持つため難工事とされる場所。実際の工事でもこの近辺から施工を進めるという。

 このほか、屋根部材の先端が設置後に自重で50センチ前後下がると見ており、その予測値と実際の変状の値も検証する。

 JSCが23日に開いた定期ブリーフィングで、小林祥二大成建設東京支店新国立競技場整備事業作業所長は「ユニット鉄骨の組み立てヤードは十分な広さがない。その中でいかに効率的にスムーズに施工を進めるかが工程を順守する上で最も重要。事前に検証することで今後の工事にフィードバックしていきたい」と語った。

 新国立競技場の規模はS一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000平方メートル。現在は、スタンド全面で地下部の基礎工事が進められており、スタンド西側の一部では床付け工事も進行中だ。19年11月末までの施設の完成・引き渡しを目指している。

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