2017年6月15日木曜日

【回転窓】「パンダ外交」の今

東京・上野動物園のジャイアントパンダの雌シンシンが赤ちゃん1頭を出産したとのニュースに、各地で喜びの声が上がった。繁殖が難しいパンダの赤ちゃん誕生に、無事に育って園舎で見られる日を心待ちにしている人も多かろう▼中国大陸を生息地とするパンダの初来日は1972年10月。日中国交正常化を記念して中国政府からつがいのパンダが贈られ、関係改善の使者として友好ムードを盛り上げた▼上野動物園ではリンリン(92年来園)が2008年4月に死亡後、パンダの姿が一時消えた。「パンダ復活を」の声に押され、シンシンと雄のリーリーの2頭を有償で中国から借り受け、東日本大震災後の11年3月22日から一般公開している▼白黒のツートンカラーで愛くるしいパンダは、中国の外交カードとしても重宝される。友好の証しとしてパンダを貸す「パンダ外交」。今春にフィンランド、デンマークと中国の首脳が会談し、年内に両国につがい2頭を貸し出すことが決まった▼国同士の絆を深める役割も担うパンダ。地政学リスクが高まる中、平和の懸け橋としてさらに世界中を飛び回ることになりそうだ。

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