2017年6月30日金曜日

【回転窓】稼ぐ力を備えるには

政府が今夏から「地方創生推進交付金」の対象を拡大し、従来の観光振興や地方移住促進策、街づくりなどに加え、地域経済をけん引する事業にも交付金の配分を決めた▼これまでの人を呼び込む事業から一歩踏み込み、地方自治体に「稼ぐ力」を求めたのは新たな試みだが、自治体がすぐに民間並みの経営感覚を持てるのかは疑問もある▼日本図書館協会が昨年8月から自治体に実施していた図書館政策のアンケートによると、500近い自治体が街づくりや地域振興に役立てる目的で図書館事業を行っていると答えた▼青森県八戸市は全国でも珍しい市営書店を開設して注目を集めるが、年間数千万円と見込まれる赤字は市が穴埋めするという。収益事業の企画力・運営力はやはり人もノウハウも持つ民間企業に分がある▼最近は民間企業と連携を模索する自治体も多いが、企業を呼び込み、信用力・提案内容を見極める人材がいないことが悩みの種とこぼす現役職員の声を聞いたことがある▼制度や政策も大事だが、最後に行き着くのは人材の確保。官民の人材交流をより活性化する仕組みづくりがカギを握るのではないか。

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